プロレスの未来を考える

私はプロレスは門外漢であるが、愛情がないから故に一歩引いた冷静な提言ができると思う。
 亡くなった三沢選手は社長業で心身ともに疲れ果てていたと聞く。やはり日テレに中継を切られたことで資金繰りに苦労していたようだ。
 個人的には三沢選手はテレビにもっと露出して認知度を高めておくべきだったと私は考える。ノアの統括本部長中田龍氏が三沢選手がバラエティに出ると下ネタを連発するために、イメージダウンを恐れ、あえて露出を控えさせたという経緯がある。しかし、下ネタキャラでもいいので、ダウンタウンDXとか行列のできる法律相談所とかのバラエティ番組に出ていたとらよかった。自分のところの番組に出てくれているというよしみで、もしかしたら日テレに切られることもなく、社長業に忙殺されることもなかったかもしれない。たらればの話ではあるが。
 ノアの悲劇を見ても分かるように、いい試合をやってればプロレス界が維持できるという時代はもう終わっている。
 なにか一般人に届くような仕掛けをしなくてはいけないと思う。今、プロレス界で一番その仕掛けを上手くやっているのが北斗晶である。あふれ出る文才でアメーバブログ第一位になり、プロレスに全く興味のない主婦をyoutubeで自分の試合を見させるくらいまで洗脳している。旦那の健介の試合もブログを読んだ読者が詰めかけ、地方の学校の体育館という地味な会場が超満員になっていたのには驚いた。
 ブログという金のかからないメディアを最大限利用している。他のプロレスラーも見習うべきだ。
 とはいえ、北斗の天才的な文章作成能力をまねることは凡人には不可能である。
 なら、とりあえず炎上することを書けばいいのだ。
 たとえば、エロゲー規制の問題が話題になっているので、エロゲーをまっぷたつに割っている写真を載せて、「こんな気持ち悪いもの見やがって、お宅野郎死ね。悔しかったら俺のところに来てみろ」と言うとか。あるいは秋葉原オタク狩りが趣味のDQNというキャラクターのレスラーを設定するとか。リング上でめがねを掛けて紙袋を持ったオタク代表のレスラーがDQNレスラーにボコボコにやられる。パソコンを片手に2ちゃんねらーのみなさんが応援に会場に集結する。オタクレスラーが大事にしているフィギュアの首ををDQNレスラーが折ってしまい、会場の2ちゃんねらーのみなさん大激怒。DQNレスラーがそっちに気を取られているすきにオタクレスラーが立ち上がり、泣きながらDQNレスラーの後頭部にドロップキックをかまして、スリーカウントとって終了という筋書きも考えられる。
 要はプロレスはテレビに黙殺されているからネットの活用を考えていかざる得ないのである。
 ドラゴンゲートというプロレス団体の一レスラーが猿を虐待していた事件もネットで騒がれ、隠蔽という最悪な決断をしてしまった。
 すぐに謝罪してリング上で猿に謝るとかそういうことをするべきだったのだ。
 ここで、一言断っておくが、猿を虐待するのは胸くそ悪いことで全く擁護できることではない。ただ、プロレスという特殊な興行の世界では明らかにマイナスの出来事をプラスに転じることができる。ここは動物虐待キャラを全面に押しだし、イルカの着ぐるみを棍棒で叩きながら入場し、体当たりの得意な元シーシェパードの船長というふれこみの外人レスラーと死闘を演じるという展開しかないだろう。動物虐待という今の日本では決してやってはいけないことをしてしまったドラゴンゲートはこのままでは座して死を待つだけだ。
 圧倒的に貧しくなっているプロレス界がトラブルに誠実に対応していっても徐々に縮小して消えていってしまう。ここはトラブルを逆に利用するくらいのしたたかさが必要ではないか。プロレスというのは良識ある人々の心を逆なでしてこそ存在意義があるのではないだろうか。