ブロークン・フラワーズ

ブロークン・フラワーズ
ストーリーは関係のない映画。
昔つきあっていた女からあなたの息子がそちらに遊びに行きましたという無記名の手紙をもらった男の物語。

心当たりのある女達の元へ旅立つ。
その女達の職業やルックスがバラバラで演技が全員すばらしく作り物めいた感じがしない。登場人物はちょっと変わった人達ばかりである。
プロデューサーズは徹底したコメディであるのでデフォルメした性格の人物ばかりだったが、この映画はいい按配に変わった人達が出てくる。微妙に変な人ばかり。
周りを見渡しても分かるように、普通だと思った人も観察するとすごく変な人だと分かったりと本当に普通の人間なんてそういない。
その現実とこの映画の登場人物は似ている。


昔の女達をはじめとする登場人物の人生を家やディナーや写真立てなどの小道具を介して覗き見しているような気になってくる。いろいろな人生を見る映画だと思う。

そして、意味ありげに変哲もない道路や裏庭や森などを写した粒子の粗いフィルムの美しさ。

ところどころに入るくすりとした笑い。
ラストシーンもホロリとした感じになって終わり余韻が残る。
カメラを俳優の周りでグルグル回しているし。

たいしたストーリーもないのに退屈しなかった。映画館ではやっぱり寝てた人がいるみたいだ。半分寝てもいいから劇場で観るべき映画だと私は思う。