ゲド戦記

天空の城ラピュタ [DVD]

天空の城ラピュタ [DVD]

ゲド戦記を観に行ってきました。
悪評とそれほどひどくないという声、両方聞いていました。
で、そこそこの出来なのかなと思ってつい観に行ってしまいました。
しかし、これはつまらない。
ネットの評価が優しく感じるほどでした。
映画館にいる時間が長く感じてよっぽど出ようかと思うほど。
退屈で退屈で時間を気にしながらの鑑賞です。
1000円で観たのにも関わらずこれだけの怒りが沸いてくるのは不思議です。
お金を払うこと自体嫌な気分になります。時給が欲しいくらい。
私としては今年のワースト、いやここ数年のワーストですね。
みんな宮崎駿の映画と比べるからつまらないのだよ。
多分ニュートラルな気持ちで観たらそんなひどくないはずと思っていました。
いや、ニュートラルな気持ちで観ても本当に面白くない。
五つ星で一つもあげたくない。0点です。
でもそんなに罵っていても仕方ない。
理由を列挙したいと思います。
まず主人公の男の子アレン(岡田准一声)と女の子テルー(手蔦葵声)が最初はギクシャクしていて仲良くなります。
なぜ仲良くなるかが分からない。
描写していないからです。
で、ギクシャクしているときにテルーが例の「命を大切にしないやつは大嫌いだ」と言います。
なんでそんなことを言うのかわからない。
アレンはテルーが襲われているのを助けます。しかし、助けたときに敵を殺したりはしてません。
しかもテルーが敵に襲われるときの敵の襲い方が古い。
水戸黄門の悪代官のよう。あんなやつは実際にはいない。
で、なぜか仲良くなった二人。
畑仕事をしているテルーを迎えに行くアレン。
テルーは原っぱで例のCMの歌を歌っています。
なぜ、歌うのか必然性ゼロ。それを見て泣くアレン。演出が下品。
観客が泣く前に登場人物を泣かせちゃいけない。
アレンが泊まっている小屋に薬をもらいに来る女二人。
これも古い。渡る世間は鬼ばかりに出てきそうな感じ。
噂話をする二人組のおばさんというのがドラマとかによく出てくるじゃないですか、あれをそのままやる。
悪口を言っているくせに本人の前だとニコニコして、それがバレバレだという二人組。
フィクションの中にしか登場しない噂が好きな二人組。
で、それが全然面白くない。観てるこっちは笑えない。
コメディリリーフとして登場させたのだと思いますがちっとも面白くない。
パイレーツオブカリビアンの二人組を見習うべきです。
こんな感じでこの映画二時間十分一度も笑うところがない。ニヤリともできない。
こんな映画ははじめてです。
絵がヨーロッパ風なのに登場人物は三流サスペンスドラマというギャップがすごい。
それから登場人物誰にも共感できないし好きにもなれないしこういう人いるいるとも思えない。
全く主人公にもヒロインにも感情移入できない。
ただの絵です。
ちゃんと人物を描くエピソードみたいなものがあるといいのに何もない。
要するにキャラクターが立っていないのです。
で、千と千尋の神隠しみたいに竜が出てきて主人公を乗せたりするのですが。
竜が出てくる必然性がない。竜出てこなくてもストーリーには全く関係ない。
人がドロドロに溶けるシーンも飽きました。なんのためにやっているのか分からない。
で、最後は城の上でちゃんばらして終わり。
城を登るときに、城が崩れてあー怖いね。ハラハラドキドキだね。ってそんなの何回も観たよ。
で、そんだけ。
スケールが小さい。城の中で完結。
全然戦記じゃないし。
映画よりも映画館で退屈と戦っている観客のほうが戦っていると思う。
本当に最低最悪。
この映画を多少なりとも評価している人は宮崎アニメを観ていないので竜が出てきて人が乗ったりドロドロした物質が人を覆ったりという映像を観たことがない人。
それか観ても忘れちゃった人。
過去の宮崎映画の引用があるのですが、それがストーリーに関係ないのだもの。
それにこの映画はすごく不親切なんですよ。最初のほうで 登場人物が何か語っているのですが、何を語っているか
全く意味が分からない。ストーリーを知った上で聞かないと分からない話を最初から繰り広げている。
何が起きているかわからないし、起きている出来事もディテールまで計算して作っていないから全くリアリティがなくて他人事にしか感じない。全く乗れませんでした。
映画というより演劇というか演劇でも人が演じているのでまだ乗ることが出来ますがまったくありえないような動きをします。ありえない動きはアニメの中であります。しかし、アニメはアニメとしての現実性があるので違和感がありません。
この映画は不自然な話し方や動き方をするのでなんとなく違和感を観客が持ちながら物語が進んでいきます。
駅とか公園とかで一人で叫んでいる人を見かけます。ああいう人の話をずっと聞かされているようなそんな気持ち。
監督一作目だからこんなものだという人がいます。しかし、いい監督は一作目からいい映画を撮る人がざらにいます。 だいたいいい監督は一作目も才能を感じさせる映画を撮っています。
「大人は判ってくれない」とか「子猫をお願い」とかは処女作なのにすごく面白いじゃないですか。
宮崎吾朗のこの映画には全く才能が感じられませんでした。
この映画を一作目と言う人はこの監督にこれ以上映画を作らせる気なんでしょうか。迷惑です。やめてください。
本当につまらないこの映画を私はよく我慢して観たと思います。しかし、本当にかわいそうなのはそういうワリキリができない子供だと思います。大人ですら退屈な映画をCMを観て面白いと勘違いして行って夏休みを台無しにした子供は本当にかわいそうだと思います。
映画を観て義憤にまで駆られるという貴重な体験をしました。
その意味でありがとうございます。
実はこの映画を嫌いなやつにわざと薦めてささやかな嫌がらせをしようかと思いました。
しかし、あまりにもつまらないので、いくら嫌なやつであってもこの映画を観させて時間を無駄にさせるのはやめようと思いました。
多分イスラム教徒もイスラエルの人々にこの映画を観させるのは躊躇するのではないでしょうか。
その意味でこの映画は敵と敵とを超えることが出来ますね。
この映画のつまらなさの前では真の世界平和が生まれると思います。
その意味では素晴らしい映画なのかもしれませんね。
全世界の人がこの映画を観ればみんなつまらないということで一体となることが出来るかもしれない。
結果として世界平和が生まれます。
そこまで考えて宮崎吾朗さんはこの映画を作ったのですね。
すごい人です。