武士の一分

武士の一分
見てきました。
映画館おっさんおばちゃんだらけ。
キムタクファンが多いのかなと思ったら藤沢周平ファンばかり。
映画の日だからか。
これは確実に当たります。口コミで広がっていって大ヒットまでいくかもしれない。
すごい分かりやすい。おばちゃんが好きそうです。
終わった後、よかったねーといいながらトイレの前でハンカチで涙をぬぐっていたおばちゃんもいたし。
武士の一分というと日本的な感じがしますけど、
全然そうではない。
日本の景色、方言、服飾、日本の俳優を使いながら
話としてはハリウッド映画のような印象を持ちました。
俳優の表情や演技や場面のちょっとした笑いを入れるところなど、ハリウッド映画のようです。
木村拓哉や奥さん役の壇れいのような人が江戸時代にいたとは思えないし、木村拓哉が目を見開いて涙を流すシーンなど
なんだか池上遼一の劇画のような。
ストーリー的にもざっくりというと目が見えなくなって
それにも関わらず決闘というパターンで王道です。
そのあと大団円が待っていてラストには大拍手です。
日本映画でくるぞくるぞ。きたー。みたいなのは珍しいのではないでしょうか。
武士の一分というのも簡単に言ってしまえば、人としての
最後の誇りということで外人も年寄りも分かるのではないでしょうか。
キムタクという人を私たちはよく知っていてそのイメージで
観てしまうわけですけど、これは全く知らないで外人の感覚で観たほうがいいでしょう。
なんだか、全体的にキムタクがトム・クルーズみたいな感じなんですよ。
最近は自然派の素の演技の人が多くて妻武木君とか浅野忠信とかうまいなと思います。
しかし、一方でスターみたいな人もいなくてはいけないと思います。
キムタクの演技はスターの演技で、自然派までいかずに
かといっていつもの「ちょ、待てよ」のキムタク節というわけでなくちょうどいい感じでした。
こういう演技がいいと思います。
たぶんこの映画は外国に持っていったらもっと評価される映画だと思いますね。
外人にも分かると思いますよ。キムタクの魅力は。
あとやっぱり殺陣がいいですよね。
キムタクは剣道をやっていただけあって剣捌きに迫力があります。結構危ないんじゃないかと思うところまで、木刀で打ち合っているのがいい。
ちゃんと伏線貼って回収する脚本が素晴らしいですね。
ウェルメイドです。
ということで時代劇の装いをしつつも人物の考え方や表情などは現代人そのものというかハリウッド映画の人物そのもの。
山田洋次という人は日本的な映画監督ではなくて
ハリウッド映画に影響を受けた監督だということが分かりました。
前半はセットの撮影が多くちょっとだらけた感じもありましたけど、主人公が失明したあたりから段々スピーディーになっていきました。
あと、俳優で桃井かおりが出ていたのですが、すごいよかったです。キムタクの親戚役でちょっとおせっかいで無神経で嫌な感じをよく出していました。
やっぱり嫌な親戚はいい映画には必出ですね。
しかし、最後にはさわやかな気分で劇場を後にしました。
もちろん泣きました。