スピリチュアル

スピリチュアルにハマる人、ハマらない人 (幻冬舎新書)

スピリチュアルにハマる人、ハマらない人 (幻冬舎新書)

という香山リカの本を立ち読みしました。
あなたは江原さんのことが好き?嫌い?
と帯に書いてあり、エハラー(江原さんファン)にケンカを売る気か?と思いました。
しかし、中身はちょっぴりスピリチュアル批判をした後に
江原さんが靖国について語っているのにファンはそういう政治問題に関心がないのは嘆かわしいという内容でした。
江原さん批判本ではないですね。
香山リカの本はなんとなくこんな感じでしょう。
という時代の気分を書いた本を多く、データがないせいで
説得力に欠けることが多いです。
この本は引用や精神科医としての経験が書かれていて
いつもより読み応えがありました。
精神分析というのは親が患者の不幸の原因になっているとする学説であり、スピリチュアルというのは不幸は本人のせいだとするので、全逆のベクトルにあることがわかりました。
ちょっと前はアダルトチルドレンという言葉が流行り、親の虐待や過干渉によって子供が精神が病んでしまうという小説や映画などが出回っていました。
今は逆で過干渉を受けている子供がそうさせる自分が悪いのだと医者に告げる時代らしいです。
江原さんの子供は親を選んで生まれてくるという言葉が浸透しはじめているせいでしょう。

江原さんがなぜ人気があるかという分析で、江原さんはライナスの毛布と同じだというのが興味深かったです。
子供は親の愛情を受けた後、社会へと出て行くわけです。
その間に、ワンクッション、いつも使っているタオルの切れ端とかぬいぐるみとか犬や猫などのペットなどがあるとスムーズに社会に漕ぎ出せるそうです。
親に甘えていた子供がいつしかタオルを持ち歩くようになり、
タオルを捨てて、社会に飛び出していくのです。
江原さんはトトロのようで、ぬいぐるみに似ているから、
人気なのだとか。
親→江原さん→社会という関係ですね。
で、社会に疲れたときにはときおり、ペットやぬいるぐみなどに戻りたくなるわけです。
それが江原さんなのだとか。

スピリチュアルにはまる人は不幸を自分のせいにするわけですが、反省を求められるのは嫌いで、今の自分を肯定してほしいという。今の自分を肯定することによって幸せになるという発想です。
で、今までの宗教ブームとはエハラー同士で集まるわけでもなく直接江原さんにつながろうとする点が違うとの分析。
これは鋭いですね。
ミクシィオーラの泉コミュニティでもあれだけ平和とかを美輪さんや江原さんが唱えているというのに争いが絶えないのは
コミュニティの住人が江原さんや美輪さんの信者としての自分せいぜいゲストくらいしか見えていないからでしょう。
オーラの泉コミュニティでちょっとゲストの釈由美子が整形だと書いただけでかなり叩かれた経験のある私は思います。
結論からいうと、精神分析もスピリチュアルもバランスよく信じることはできないのだろうかと思います。
精神分析で世の中がトラウマとか言い過ぎてみんな飽きちゃったのでしょう。
だから、トラウマがあっても自分の力で道を開けるという
スピリチュアルが流行ってきたのだと思います。
私自身は疑似科学に踊らされない程度にスピリチュアルを信じて生きていこうと思っていますが。