ドリームガールズ

ドリームガールズを観てきた。それほど客は入ってない。
分かりやすいようにSPEEDに例えて説明する。
仁絵ちゃん似の女の子(ジェニファー・ハドソン)が
メインボーカルのグループ、ドリームガールズで、プロデューサー(ジェイミー・フォックス)がルックスのいい上原多香子ビヨンセ)をテレビ受けを考えて、メインに据える。予想通り売れるが、面白くないのがジェニファー・ハドソンである。プロデューサーをめぐっての三角関係もありステージに穴をあけグループを追放される。
という話なのだが、グループの女の子が手近なところとデキてしまうのはなんだかNANAを思い出させる。
ストーリー的にはそれほど新しいところはなく、ジェイミー・フォックスの商業主義的なやり方とそれに反抗する周りという図式もあるあるという感じである。
しかし、それにもかかわらず映画を観たという充足感に浸れるのはやはりひっきりなしに流れる音楽が素晴らしいからなのだろう。音楽と同時にサイドストーリーが進行していて観客を飽きさせない。
特にジャニファー・ハドソンの歌はすごくて、思わず聞いていて泣いてしまうほどだった。
歌を聞くだけで泣いたのは「ヨイトマケの歌」以来である。
仁絵ちゃんぽいジェニファー・ハドソンは鏡に自分の姿を写してこんなにいいスタイルなのにこんな衣装を着るなんて
とナルシスティックな台詞を言う。
そこで観客は何言ってんだと思うわけだが、その後のオーディションシーンで本当に上手い歌を聞いていっぺんにジャニファー・ハドソンに感情移入することになる。
ジェニファー・ハドソンの実はコンプレックスとなっている容姿を褒めることでいっぺんに気を惹き契約にこぎつけてしまうジェイミー・フォックスのしたたかさが怖い。わがままでだらしなくルックスもよくないというキャラクターのジャニファー・ハドソンがただ歌が上手いということでビヨンセの魅力を凌駕するところにこの映画の面白さがあるのではないだろうか。
ビヨンセも前半に一切オーラを消し去って途中からルックスだけの歌手と言われないようにソウルをこめて歌うようになるという設定どおりに歌が上手くなっていたのはさすがだと思った。
それから、ドリームガールズが有名になる過程で雑誌に載ったりテレビに出たりといった細部がきちんと出来ていてその時代の雰囲気を伝えていたのはハリウッド映画らしい贅沢なお金の掛け方である。
とにかくキラキラしていて音響も素晴らしいのでぜひ映画館で観てほしい作品であった。