自虐の詩

自虐の詩
いつもちゃぶ台をひっくり返してばかりの内縁の夫イサオを持つ幸江は傍目には不幸に見える生活を送っていた。
そんなある日、幸江の身に…
そして幸江はこれまでの人生を振り返るのであった、という話。
前半は大阪の街を舞台に原色に満ちた色合いと薄っぺらというか軽い笑いが炸裂する。
が、後半は白と黒を基調とした港町での友情物語が展開される。
やはり女の友情モノに弱い私なので、後半はずっと泣き続けて、目を腫らしてしまった。
子役の女の子がかわいくないのがリアルで素晴らしい。
原作にはない要素、お金についてのテーマ(金額ではなくて汚いお金ときれいなお金がある)も織り込みつつも原作ファンも裏切らない内容に満足した。
原作は前半はちゃぶ台をすぐにひっくり返す男というギャグでずっと引っ張って、後半
幸江の人生が描かれていくという全く予想もしなかった展開になる。
この映画も前半の堤幸彦特有のワルノリギャグと後半のオーソドックスな感動物語の
ギャップが素晴らしく、かなり泣いてしまった。
阿部寛中谷美紀の演技も素晴らしく、中谷は嫌われ松子と同じような役を演じたのに
こっちのほうが上手く見えた。
なぜだろう。
原作の話のネタもすべて収斂して、原作を読んだことのない人にも分かるようにした
バランス感覚が素晴らしい。
ということで、オススメ。