崖の上のポニョ

崖の上のポニョは非常に面白くなかった。
今まで「紅の豚」とか「ハウルの動く城」などあまり評判のよくない映画を撮ってきた宮崎駿だが、全部平均点を超えるものだったと思う。
あくまで宮崎駿の中ではあんまりよくないという程度のものであった。
だが、崖の上のポニョはダントツでつまらない。
これは声優陣がひどいというレベルではない。
声優陣がつまらなさに拍車を掛けているのは確かであるけれど。
まず物語を牽引するものがなかった。
だから、非常に退屈に感じた。
謎とか主人公の目標とかそういうものがあるから映画は観ていられる。
この映画にはそれがない。
宮崎駿の映画で退屈を味わうとは。
ポニョが連れ去られても全くドキドキしない。
このドキドキ感のなさはまれである。
また、名台詞がなかった。
多分この映画で後年まで語り継がれるような台詞というのは生まれなかった。
あれほどまでに素晴らしい台詞を書いていた人がどうしたというのだろうか。
人物と人物との間の緊張感がないために、間延びした感じがして、
キャラクターにリアリティや思い入れを感じることが出来なかった。
主人公のそうすけも全然好きになれなかった。
「相変わらず、宮崎駿の映画は食べ物が旨そうだなあ」とか「出た、宮崎走り」と思って
やり過ごすしかなかった。
要するに脚本を軽視しているのだと思う。
ビジュアルは最初の5分くらいは水族館に来たようで、魚がそれぞれに違う方向に動き、それを描き分けていてそこはすごかったと思う。
しかし、完全な失敗作であり、観なくていいことは保証する。
ポニョを連れ去る父親を所ジョージが声優として演じているのだが、棒読みなために
どんな人か全く分からなかった。
多分いい人でありながら、ポニョを思うが故に、時に悪にならざる得ないという複雑なパーソナリティだと思う。しかしただのよく分からない人になっていた。
所ジョージが上手かったとしても映画としてはつまらなかったとおもう。しかし、ここまでひどくはなかったと思う。
山口智子もなんかセルフパロディのようなハキハキしているだけで、何も感じさせない
90年代の遺物のような人だったなあ。
魅力がなかったな。
期待しただけになんか悲しい。