中学生の勉強法

私は主に中学生対象の個別指導塾に勤めていた。中学生の勉強については語っても許されるのではないか。
個別指導塾ではそれほど人気が出るタイプではないために、教えられる教科を増やそうと思って、ざっと勉強して5教科を教えられるようにした。
だが、個別指導塾に教わりにくるのはやはり数学と英語が多い。数学と英語は積み上げ型の科目であるために私も個別指導塾で教わることには意味があると思う。
他の一斉授業の形式だとどうしても落ちこぼれてしまう生徒が出るから、特にあまりできない生徒は個別指導のほうがいいと思う。
 私は特に英語を教えるのが上手かったと思う。中3になって、中1中2の文法を積み残して駆け込んでくる生徒が結構いる。そんな生徒に対してはまず中1の最初から文法をやり直す。とはいえ、学校準拠のワークであると時間が掛かる。英語の文法をまとめた塾用のテキストをやる。塾のテキストを専門に出版しているつむぎ出版という出版社のテキストを使った。つむぎ出版の「英語の名人?」と「英語の名人?」というテキストを使った。これは中1と中2の英文法をコンパクトにまとめたものである。最初はやり直し英語の世界で有名な「くもんの中学英文法」を使ったりしたが、大人の独学用であって、中学生はあまりよくないことが分かった。頭に入っていかないのだ。英文法が分かっていない人はざっと英文法が復習が出来るやつをやってみるといい。市販だと適当な問題集が思いつかないが、なるべく薄くてやりやすそうなやつをやってみたらいいのではないだろうか。
 ということで、「英語の名人??」を使って1・2年の文法をおさらいしたあとに、同じ出版社の長文問題集(長文問題集に関してはどこの出版社でもいいと思う)をやって入試の長文に慣れていくというパターンを確立した。このパターンで中3で塾に入ってくる中3生に対しては入試に対応させることができた。とはいえ、英語にかなり苦手意識があって、英文法をいくらやっても全く英文法が入っていかないという中3生には困らされた。仕方がないので長文をがんがんやらせて英語に慣らしてなんとなく英語を読めるようにした。極度に論理的思考能力がなく、英文法も全く分からない生徒にはある一定の成果を上げることができたと思う。
だが、それでも全く英語力がアップしなかった生徒がいた。結果的に入試に受かったからよかったようなものの、入試の発表の前はかなり胃が痛かった。そういう生徒は今から考えると中3で塾に入ってきた時点で、教科書準拠のワークを最初からやり直させればよかったと思う。さすがに中1の最初の方は分からない生徒はそれほどいないと思うから。
次に数学であるが、英語が中1中2の授業と中3の入試の間に壁があるように、数学も中1中2と中3との間に壁がある。
英語の場合は普段の定期テストと入試の間にある壁とは長文の壁だと思う。定期テストは英文法だけできていれば出来るのに、入試は長文を読めなければ話にならない。中3生には夏休みを過ぎたあたりから長文を大量に読ませることによって、その壁を越えさせた。もちろん長文を読むには英文法が出来ないとダメだから英文法が怪しい生徒には英文法をざっとおさらいさせてから長文に進むのである。
数学の場合は入試の応用問題がくそ難しい。どのくらい難しいかというと、バイトで来ている教育学部の高校の数学教師課程を取っている講師も解けなかったくらいである。なんでも、ゆとり教育で教える内容を削ったために前は基本知識を試す問題だけでも差がついた。覚える量が減ったために、難しい応用問題で差を付けるしかなくなったとのことである。
 というわけで、数学も基本が出来ている生徒は中3の夏過ぎあたりから応用問題を解くようにした。
塾用の入試問題集を解かせたが、市販で買えるものとしては文藝春秋の「未来を切り開くシリーズ中学数学発展篇」あたりがいいのではないだろうか。まずは定期テストで80点くらい取れるくらいの基本を固めてからであるのは言うまでもないが。
で、定期テストであるが、だいたい塾用の教科書準拠のテキストを3冊くらい並行して解かせる。数学もテキスト1冊だけだとしつこさが足りないので、一つの公式や解き方が分かったら他のテキストを使って同じところを繰り返し解かせる。
やはりいい点が取れる子は何度も解くことが出来る子で、問題を解くのが早い生徒である。努力で多くの問題を解くことが出来る生徒も伸びると思う。
英語に関しても教科書準拠のテキストで教科書の同じユニットを並行して2冊くらいのテキストを使って解かせた。それくらいやれば誰でもテストは出来る。で、思い切って発音問題を捨てた。発音問題はほとんど出ない割に教えるのに手間も時間も掛かるからである。
とにかく中学の1・2年の間は教科書を中心に繰り返しやっていけばいいと思う。
独学の人も塾用のテキストにこだわる必要はない。市販の教科書準拠の問題集を買ってきて2冊くらい並行してやればいいと思う。
次に国語であるが、意外とこれも教科書準拠ワークをやれば同じようなところを定期テストでも聞いてくるものである。だから国語に関しても2冊並行してテキストをやらせた。国語は勉強しても点数が上がらないと思う人もいるが、定期テストに関しては勉強すればすぐ上がるので試験勉強することをおすすめする。
次に社会であるが、これもテキストを並行してやればイヤでも覚える。私はある程度歴史が好きなので歴史の流れの説明をすることが出来て、流れを教えた後に問題集を解かせて覚えさせることができた。独学でやる人はやはり教科書を読んでそのあとに問題集を解く、また忘れたら教科書に戻って次に問題集という風に覚えていくしかないのではないか。
また、最近の社会の入試問題は記述式が多い。ということで、定期テストの問題も記述式が出ることが多い。これは学校の先生が強調したところをノートを読み返すなどしておさえていくしかない気がする。
で、最後に理科であるが、所々難しい。というのも理科の教科書を写真とか絵ばかりにしてしまった。教科書の活字の説明が少ないために、少しでも応用になると手が出ないのである。これもつむぎ出版の塾用のテキストが一番良かった。独学の人は問題集を解きながら、分厚い辞書的な参考書で調べていくという勉強の方法がいいのではないか。
中学校の理科はそれほど覚えることはないので、要点さえ押さえれば大丈夫だ。
理科は教科書準拠のワークを1回やれば出来るような問題であった。
 

 英語と数学以外の入試問題対策としては基本を押さえた上で慣れというしかない。
国語は毎年傾向が似ているので、慣れる。最低でも時間内までに作文まで書けるようにしておかないといけない。要約問題はこつが必要だが、最後の1つか2つの段落を短くまとめ、それを最初から最後の3つまでの段落を短くまとめたものに、ドッキングして部分点をもらう方法がいいのではないか。
社会の入試問題は記述式問題は常識というのが大切で答えを見るとなんだあという程度の問題が多いので過去問を読んで慣れていくのが大事である。
理科は定期テストレベルなので、普段から勉強していたら点は取れるし、入試前に3か月勉強しても間に合うと思う。
そんな感じで中学生に勉強を教えていた。
ところが塾全体の生徒が減ったためにお払い箱になってしまった。今は失業保険を
もらいながら転職しようと思っている。暇なのでアルバイトで塾講師をまたやってみようとも思っている。