私の読書遍歴

タイガー&ドラゴンを観た。期待しすぎた。とはいえ日本のドラマの水準よりは高いだろう。いきなり人間関係が進展したのでこれからどうするのだろうと思わせたから成功だろう。西田敏行が落語家にちゃんと見えたし、俳優は100点だろう。伊東美咲も大根なのだがただかわいく内面が無い人の役なので合っていた。
TBSのドラマ、野島伸司「あいくるしい」もよかった。一度も泣いたことのない小学生の役を神木隆之介が演じ、夜働き、昼眠るおじいちゃんの役を杉浦直樹が演じる。いいじじいの存在を日本は求めているのだろうか?「ごくせん」でも宇津井健水戸黄門的役回りを演じていた。良識を代表してがつんと宇津井健が冷静に語ってくれるのだ。やくざなのに。杉浦も神木に哲学的に語りかける。神木君を見ているとマイケルジャクソンの気持ちが初めてわかるのだが、主題歌をマイケルが歌っているのは悪い冗談にしか思えない。というわけでドラマツルギーに良識を持ったいいじじいが必要であるのは確かだ。ではなぜ「汚れた舌」にはいいじじいが出てこないのだろう。それが現実だからだ。みなが倫理を失い。不安な状況。それが現実だ。タイガー&ドラゴンとなるとどん兵衛師匠がいいじじいなのだろうか。だが、この人も喜劇的であり、頼もしさと情けなさの間でさまよっている感じだ。
モダンとポストモダンで分けてみよう。
モダン「ごくせん」「あいくるしい」中間「タイガー&ドラゴンポストモダン「汚れた舌」という風になる。


私は小さい頃から読書が好きなわけではなかった。童話全集みたいなのを買ってもらったがほとんど読まなかった。本を読み始めたのは小学校の高学年だと思う。叔父さんがくれたドリトル先生航海記を読んで感動した。こんな人になりたいと思った。ドリトル先生はお金をもうけてもすべて動物のために使ってしまうのだ。高潔な人になりたいと思った。私が拝金主義を嫌うのは最初の読書体験が影響しているからかもしれない。図書館や公民館に通い、どこの図書館でもあるシャーロック・ホームズの子供版を読み始めた。それから、子供版の推理小説全集みたいなのを読み、すっかり小説が好きになった。昔は推理マンガのようなものがなかったから、推理好きは小説を読むか推理クイズの本を読むかしかなかった。これがよかった。推理クイズの本もかなり読んだ。藤原宰太郎の本が好きだった。休み時間に友達と推理クイズを出しては解くという遊びを流行らせた。推理少年だった。だが、創元推理文庫も早川文庫は少年の私には文字が小さすぎるし文庫本は敷居が高かった。この当時、「金田一少年の事件簿」や「名探偵コナン」があったらはまっていただろう。文庫本ではじめて読むことが出来たのは確か星新一ショートショートだと思う。これはすぐに読めるし面白かった。星新一の解説を筒井康隆が書いているのを見て中学の頃から筒井康隆を読み始めた。エロかった。それでこんな世界があるのかと驚いた。童貞という言葉も知らず創価学会の事も知らなかったがそれでも「郵性省」という小説は面白かったし、日本中が宗教戦争になってしまう小説も面白かった。本屋に通うようになり、岩波文庫のただで配っている読書の手引きみたいなのをもらって、岩波文庫を読み始めた。薄い文庫から読んでいった。「変身」「影を盗まれた男」「ダミアン」などには、推理小説には無いものを感じた。
同時に金曜ロードショー刑事コロンボを観てはまり、コロンボのノベライズを読むようになった。私はほとんどノベライズは読んだことないが、コロンボのノベライズはよく出来ているので読んでみてほしい。それから、純文学も読むようになった。大江健三郎山田詠美村上龍などを読んでいった。英文学ではこれは純文学と言えないかもしれないがスティーブン・キングが好きだった。中学の先輩から勧められた「スタンドバイミー」から入っていった。これは映画よりも小説のほうがいいので読んでみて欲しい。中学生の時に読んでよかった。同世代感があった。それからは際限なくなんでも読むようになった。
小学生くらいの子供に読書を勧めたいのなら、まずシャーロック・ホームズドリトル先生シリーズを読ませるといいと思う。もともと子供というか人間は推理のような論理性を求めているのだ。それか、ドリトル先生のような動物ものか。
ただ、最近はマンガもデスノート動物のお医者さんなどでその部分はカバーしている。
まあ、本を読まなくてもマンガにも素晴らしいものはたくさんあるしマンガだけ読んでいてもいいかもしれない。下手をするとデスノートなどは赤川次郎の本やセカチューなどよりもリテラシーが必要だし。
ボッコちゃん (新潮文庫)
ドリトル先生ものがたり 全13冊セット 美装ケース入り (岩波少年文庫)
刑事コロンボ コンプリートDVD-BOX
スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)
シャーロック・ホームズの冒険 (新潮文庫)
今検索したらドリトル先生シリーズって井伏鱒二が訳してるんだな。道理で面白いはずだわ。