上野樹里について

昨日上野樹里という単語を出したせいで検索してこのブログを読んでくれた人が結構いたみたいなので彼女について書きます。「ジョゼと虎と魚たち」という映画をご存じだろうか?
この映画は素晴らしいのであるが、なにが素晴らしいかというと妻夫木聡演じる主人公のキャラクターである。なんというかそこらへんにいそうなのである。私は田辺聖子の原作も読んだが、全くキャラクターは異なっている。映画は主人公にセフレがいるのである。で、はっきりいって女にだらしない男なのであるが、いい人であって、池脇千鶴の家に障害者のためのバリアフリーの器具を作るために奔走したりするのである。で、自分はいい人であると思いこんでおり、観客もいい人であると思いこんでしまうが、本当に残酷な事をするのである。で、現実というものはこういうものなんだろうなあ。と思わせる。で、障害者役の池脇千鶴の貧乳を見せるのであるが、これがなんだか見ていると寂しくなってきて明るいエロスを感じさせないところが、また現実的である。敵役は上野樹里であって、これがディープキスを妻夫木君とするのだが、これが激しい。激しい。日本映画史上に残る激しさであって、だけど、ドラマとかでやってるチュッっていうのは嘘でしょう。妻夫木はプライベートでやってるそのままを演技にぶつけている。で、上野樹里もいい人なのであるが、意地悪な所もあって、きれいで。こいつもいそうだなあと思ったりして。上野の荒削りというか生命力の強さが画面を通して伝わってきて、この人は本当に顔が整っているわけではなく、そのオーラの強さが美しさにつながっているのだと思う。この人は明るいエロスを感じる。
タイプとしては岡本綾タイプだと思うのだが、エンジンで共演しているのだな。上野樹里ってのは結構大女だと思うのだが、そういった肉体的強さがスター性になっていると思う。
で、「ジョゼ」は成瀬巳喜男の「浮雲」の現代版ではないかと思う。男の愚かさ、恋愛の残酷さをこれだけ見つめる映画は最近無いと思うのだよ。「浮雲」の森雅之に妻夫木君は匹敵するリアリティを持ってる。結構純愛だとか流行っているけど、「ジョゼ」はそれにカウンターを食らわせるような映画だ。私は絶対的に支持したい。
上野の髪型も今のが好きだな。黒髪でショートの。トーク番組とか見ていると上野がたまに出てきてとんちんかんな事を言ったりしてるが、全く物怖じしていない。これでなくちゃいけない。上野は大器なのである。


アサヒ芸能、町山広美矢口真里は策士なりというコラム。一重まぶたを二重にした時点で横峯さくらと通じるものがあるとのこと。辞めかたの鮮やかさ、誰も興味を失っているモー娘。に注目を浴びるようにしむけたというアングル。
なるほど、私は矢口真里の「おいら」という一人称にずっと違和感を持っていたものだが、これはビートたけしチルドレンであるということを潜在的にカミングアウトしたお笑いファンに向けたメッセージなのではないかという仮説を持っている。要するに私はあなた方お笑いファンと同じ種類の人間ですよと。矢口真里策士論からするとこれも正しいのではないかと思えてくる。


TBSストリーム、町山智浩、町山兄のほう。ウルトラマラソンマン、アメリカ版間寛平みたいな人、420キロを不休でマラソン、ピザを筒のように丸めカロリーを取り、下り坂で眠り、小便を垂れ流しながら、走る人について。
関係ないけど、町山智浩デーモン小暮ザコン説を世に広めた人だね。町山がデーモンのお見舞いに行くと母親にデーモンがママ、リンゴ剥いてと言ったという。
デーモン小暮によるとこれは脚色された話で母親に面会の町山にリンゴを剥いて出してあげたらって提案しただけだと言うが。嘘にしても悪魔がマザコンというのがおもしろいね。
ラジオビバリーヒルズはカンニング竹山がゲスト。立川談志と一緒に公演に出るするらしいが「まあ、絡んでみて、どうなるかは、僕は落語家じゃないし別にどうなったっていいですよ」との全く談志リスペクトの無いコメントに驚いた。お笑いやってる人ってみんな談志を尊敬してると思った。逆に面白いわ。ちなみにカンニングは画数が良くないのでカミングに変えるといい。じゃないと、細木数子みたいになるので、やめた。


ロンドンハーツが格付けバトルではなかったので離婚弁護士Ⅱを見る。天海祐希は日本のジョディー・フォスターではないか。羊たちの沈黙クラリススターリングのようだ。戦う大人の女として格好良い。戦う少女の物語は数多くあったが戦う女の現実的な物語はこれしか知らない。日本のドラマ界が生んだ初めてのフェミニスト公認ドラマではないか。脚本もよかった。私の知らない人であったが。演出も良かった。鈴木雅之あたりが演出をしているのではないかと思ったくらいのテンポの良い演出、鈴木雅之よりもいいかもしれない。これ以上切るとうざいと思うくらいのちょうど良いカット割りが素晴らしかった。この人も知らない人だなあ。キャスティングも松重豊を無駄遣いする所なんかはフジテレビのキャスティング力のすごさを感じた。津川雅彦も贅沢な使い方だな。ただ、乙葉はミスキャストではないか。踏んだり蹴ったりの可哀想な人の役なのだが、全然可哀想に見えない。乙葉は大根なのだから、浮世離れしたお嬢様の役しか出来ない。もっと痩せていて幸薄そうな人が演じるほうが良かった。誰がいいかなあ。思いつかないや。結構あれくらいの歳で演技の出来る人材は払底しているのだな。


朝日新聞夕刊、島田雅彦村上龍司馬遼太郎の後継者であるとのこと。蘊蓄の多さ、文明論を熱く語り、啓蒙の役割を担う天でも二人は似ており、司馬の場所に対する鋭敏な感覚、資料を読む際の直感的分析力さえも村上龍は受け継いでいるとのこと。
で、「半島を出よ」は今までの日本文学史には無い、外人を語り手としているところが画期的だと言う。なるほど。
村上と司馬を結びつけたことは一度も無かったので新鮮であった。私も小説書くならこれくらいのでかい嘘つかないとな貧乏くさいぬるい日常を書く小説はいくらでもあるのだな。
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ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)