中島らもと松尾貴史

ウチくる!?ゲストは松尾貴史
立川談志コメントで出演。曰く「松尾は本物だ」
なるほど、松尾貴史は如才がないから先輩にも好かれるのだろうな。
談志は「和田アキ子には気をつけろ。あいつは馬鹿だからな」とも言ってた。
最後は中島らもの奥さんが出てらも話、松尾は「らもさんは本当に弱者に優しい人で、それも記号的な優しさではなく、劇団のお金も自分で出していた」
飲み屋で大阪の落語家に絡まれて困ったとき、らもがち○この先に伝票をつけて、その落語家に「この場の雰囲気を悪くした責任を取れ、君がこの店の勘定を持て」と迫って。落語家が謝ったという話が出てきた。松尾は「この人について行こう」と思ったという。
松尾貴史は大学の時は溝口健二の映画の脚本家で知られ、ヨーダのモデルにもなったという依田義賢氏にも師事していたというし、岡本太郎の真似をしたのも最初だし、中島らもの弟子でもあるし。
岡本太郎話もあった。大阪万博赤軍派の学生が太陽の塔の目の部分に立てこもり、作者として意見を求められた岡本、「いろいろな楽しみ方があっていいんじゃないかと思います」と。
私も岡本太郎中島らもも好きだな。
それから、松尾の父親の話が面白かった。
11PMを一人で見ていて、父親がたまたま早く帰り、こんな番組見やがってとマンションの三階から松尾を逆さ吊りにしたという。後年、松尾が11PMに出たら、父親が喜んでたという話。
松尾貴史は「ヨルマゲドンの奇蹟」というラジオ番組をやっていて私は勉強もせず毎日ラジオを聞いていたものだった。そこで、宮沢章夫の構成によるコントが繰り広げられていて松尾スズキふせえりなどが出演していた。最先端の笑いをなにげに普通に文化放送という媒体を通じて流していたのはすごいと思う。勉強しないで聞いていてよかった。


岡本太郎について、もうちょっと。
最近、野木なんとかの本で、戦争協力のように万博に関わった芸術家が後ろめたい気持ちを抱きながらその後、生きていったみたいなことを書いてるって坪内祐三が言ってたけど。少なくとも岡本太郎についてはそんなの少しも無かったから、万博に協力するって周囲の人に言ったらみんなに反対され、反対されると逆にやる気が出る人だから、やってやろうってことになったらしい。バラエティ番組に出たのも周囲の人に反対されたから出たらしい。自分がこっちを選んだら駄目になってしまうという方をいつも選ぶと岡本は言い切っている。
万博に協力するってことはその当時から反対意見があったわけで、その本にはどう書いてあるのだろうか。今度読んでみよう。
井森美幸がいいともで言ってたのだが、片岡鶴太郎の番組に岡本太郎と一緒に出ていた井森が鶴太郎に頭たたけと指示されて、岡本の頭を叩いたらしい。番組後、岡本は「いいんだよ」と全然気にしてなかったらしい。
多分出ていた番組は「鶴ちゃんのぷっつん5」だと思うのだが、世界的芸術家になんということを。岡本が「ぷっつん5」に出てること自体どうかなだが、そういうことに拘泥しないのが岡本の素晴らしさだ。あの人は才能もあって心が優しい人であったともともと私は見抜いていた。


芸術家は才能があるととかく気難しくなるというステレオタイプな芸術家像があるが、本当に偉大な芸術家は性格も良い。三島由紀夫も気さくなユーモアのある人だったらしいし、太宰治もチャーミングな人である。
坂口安吾の「不良少年とキリスト」にはある作家の葬式で愛人の話が出て「そういうことは奥さんがここに来たら言っちゃ駄目だよ」と安吾が言ったら太宰が「そうだ。その通りだ」と言ったという。安吾はまっとうな男だと書いていた。
あと、天才と言えば手塚治虫の他の漫画家の才能に対する嫉妬心メラメラは有名であるが、年取っても絶対に自分が第一線にいて大友克洋にまで嫉妬したその漫画に対する執念は逆に美しい。漫画に命を掛けたからこその嫉妬である。お金でも名誉でも無いそこには純粋な思いがある。美しい嫉妬というものもこの世には存在するのである。
手塚治虫もまたいい人なのである。