ジャイアント馬場の死

浅草キッドのお笑い男の星座を読んでいたら、ジャイアント馬場死去とか宮路社長死去とか、わたしのなじみのある名前ばかりで感慨深かった。
どちらも私がアルバイトしていた病院に通っていたのでそこで見かけたのでした。
宮路社長は大分前からいろいろなところが悪いらしく病院に通っていた。
宮路社長のアタッシュケースを確かめなかったことが悔やまれる。
夜間の救急病院で坂下千里子が一般人の彼氏と一緒に来て彼氏が歯が痛いとかそんな理由で来たのかな。もちろん歯の救急治療は行っていないので追い返された。アルバイトの同僚はみんなざまーみろといってました。
羽賀研二がやってきて、看護婦に最近テレビに出てないとかつっこまれて笑ってこたえてたなあ。大学ノートにサインしてくれたっけ。治療代を計算してたら「まけてくださいね」といったあとに「ねぎっちゃいけないか」と自分で突っ込んでたな。
人当たりのいい人だった。あんなに愛想のいい芸能人ははじめてみたな。そりゃおばさんそそのかして宝石買わせるくらいなんでもないだろう。
テレビの取材が入っていたときもあったな。緊急列島24時みたいの。生放送。テレビカメラが入る直前に眼帯した人が待合室に入ってきて座ってた。たぶんADさんだろう。リポーターはもうすでに今日は二人の方が亡くなっていますとかいってた。その日は重傷の患者は一人もいなくて誰も死んでないんですけど。
ジャイアント馬場が死んだとき、病室から報告を受けたのが私だった。私は日本でジャイアント馬場の死を知った最初の数人のうちの一人だった。葬儀屋には私が電話したのだろうか。看護婦がやったのかもしれない。口止めされた。翌日も翌々日もスポーツ新聞に馬場の死は載っていなかった。箝口令が敷かれていたのだった。
ジャイアント馬場が夜間に診察にかかりに来たときのことを覚えている。陳腐なたとえだが山のような人であった。そのまま入院したのだっけかな。それから病院から二度と出られなかったのだろうか。カルテを取りに行くときに「最近体調が悪い」」とか言う声が聞こえた。ジャイアント馬場は体がでかいだけあって声も大きく響くのだ。
満身創痍だったのだろう。サーカスの象が死にゆくようだ。