スウィングガールズ

スウィングガールズを見た。★★★☆☆あいかわらず、矢口監督の映画は演出と脚本に穴が多いな。
ウォーターボーイズと同じでスポ根にあらず。スポ根に陥らずにどのようにしてコメディ映画として成立させるか。アメリカのコメディ映画を目指しているのだろう。
笑いと涙の人情喜劇が日本の映画には多いがこの映画、全く涙がないのは潔い。
強引な映画なのだが魅力的である。
上野樹里もまた、正統派美人ではないが、魅力がある。この映画と同じ。
なんだか上野とこの映画には多少の荒さを吹き飛ばす力強さがあるのだ。
それがスウィングしなくちゃ意味がないというこの映画のテーマなのだろう。
楽譜通りに演奏するだけではなく作り手と観客がスウィングすればいいじゃないの。という。それは成功しているとおもう。
最後になんの名誉も与えられないのがいいとおもう。
なんだかそれはこの映画のことなのかもしれない。この映画に賞は似合わない。
ただ観客の喜ぶ顔のみが勲章だ。
批評家が評価するわけにはいかないだろうが、この映画はDVDで多くの人が見てテレビで放映され、みんなが見るだろう。多くの人に愛される映画の一本となるだろう。


映画について書かれたブログを検索していたらファーストフード・ファーストウーマンを批評したのがあった。この映画は昔、元カノに面白そうだからと誘われ一緒に渋谷に見に行った。予告編の時、私がしゃべっていたら、「静かに」と元カノに注意され、「まだ予告編だからいいじゃねえか」と乱暴な口調で言ってしまった。彼女は怒ってしまった。
だが、途中で映画があまりにもつまらなかったので連れてきた責任を感じて飴をくれた。
終わった後、私はつまらなくて仕方なかったが、もしかしたら面白かったのかもと思って「どうだった?」と聞くと「つまらなかった」とcon espressione(感情を込めて)言った。つまらない映画のほうが心に残るものである。
あと、つまらなかったのが「ベルベットゴールドマイン」という映画である。これは「ビッグ・リボウスキ」と二本立てで早稲田松竹か池袋文芸坐かどっちかで見た。
ベルベットを先に見てよかった。本当につまらなくて逃げ出しそうになった。耐えて見終わるとビッグ・リボウスキであった。これは本当に楽しい映画であった。最低の映画と最高の映画を見て予算も俳優もそれほど変わらないのに映画がこれほどまでにできが違うというのは不思議だなと思った。
池袋文芸坐で、サークルの後輩と出くわしたことがある「エド・ウッド」「クリムゾン・タイド」を見て出ようとしたとき後輩が来て私が意外と「クリムゾン・タイド」面白かったよ。と言うとエド・ウッドだけ見ようと思ったんですけど。と言っていたので「クリムゾン・タイド」も見たほうがいいと言って出た。「クリムゾン・タイド」の脚本にはタランティーノも加わっていたらしいし確かに面白かった。
二本立てというのは見たくない映画を見ることもある。だが、たまに拾い物でいい映画にあたることもあるのだ。
基本的に私は一日一本しか映画を見ないことにしている。それは二本続けて見てしまうと感動が薄れてしまうからだ。だが、東京に住んでいたときにもっと二本立てを利用して見ておけばよかったなと思う。映画は楽しいだけでなく見ているときに我慢を強いられるものだ。二本立てはその我慢に耐える力を与えてくれる。
みんな、もっと退屈な映画を見る勇気が必要である。