ALWAYS三丁目の夕日

ALWAYS 三丁目の夕日だけど良かったなあ。泣けるという映画はよく聞くのだが、えてして泣くまで退屈したり泣かせよう泣かせようと下品な演出をしたりするのが辟易する。
だが三丁目の夕日は違う。私は一瞬たりとも退屈しなかった。それに下品な演出も無かった。俳優の素晴らしい演技。吉岡秀隆は大好きな内田有紀をくれてやっても惜しくない演技を見せる。堀北真希の青森弁。わだすはとか言う田舎モンぷりが今ではリアリィティは無いもののその時代を描く必然性を感じられる。集団就職という言葉だけでご飯三杯いける私にはツボである。リンゴホッペで機関車の煤を付けて上京する堀北!ひたすら母親的な薬師丸。乱暴で人権無視だが実は暖かい堤真一。女性特有のずるさを持ちながら悪女になりきれず普通の幸せを望む小雪。ちょっと嫌な金持ちの小日向。名前を知らない子役の演技も素晴らしい。子供はやんちゃか必要以上に大人に迎合しようとするかのどっちかだ。
その両者をうまく描いている。みんなみんな素晴らしい。脚本プラス俳優プラス演出すべてが素晴らしい。性格の悪い純文学作家志望の吉岡は私だ。私のための映画とすら思ったほどだ。泣いて笑って私は空っぽになってしまったかのようだ。今年度ナンバーワンは間違いなくこの映画だ。