博士の愛した数式

今さら博士の愛した数式を読みました。完璧です。これは誰が読んでも面白いんじゃないですか。教科書に載せても平気です。満点です。
で一番良かったのが博士が阪神戦を見に行って綺麗な売り子を選んでジュースを買う場面ですね。その売り子が来たら急にバカバカ物を買ってしまうという。
ここは素晴らしい。私も球場でナイターを観るときは売り子ばかり観て野球に集中できない男です。
でもいいんです。ナイターの醍醐味はそこにあるのですからあの急な階段を重いビールのボンベを背負いながら大声を張り上げるひたむきな姿。私はそれに応えるようにハイピッチでビールをグビクビ飲むのでした。
この場面は完全に数学にのめり込み聖人化している博士が完全に枯れていなくて俗っぽい所もあるというのを表現するところです。であるが故に小説としての本当さが現れています。この場面こそ作り物に満足しない大人の読者をも唸らせた名シーンと言えましょう。
ここだけでも読んで良かった。博士は私のようなボンクラにも共感を与えてくれた。ありがとうこざいます。