運命じゃない人

運命じゃない人 [DVD]

運命じゃない人 [DVD]

内田けんじ監督の「運命じゃない人」という映画をDVDで観ました。
これはあれですね。タランティーノの映画とかバックトゥザーフューチャー2とかでやっている時間をいじくる技法を使ってますね。
映画の途中で前のシーンに戻って実はこんなことも同時並行で起きていましたというような脚本。
その技法を全編にちりばめて使っています。
これはみんな好きな方法ですね。海外から上映のオファーが殺到したのも頷けます。
で、この映画はとるにたらないサラリーマンの日常とヤクザが絡んでのサスペンス二重構造で出来ているわけです。
そのサラリーマンの日常のほうもサスペンスが出てくるまでの会話が面白いのでそういう映画だと思ってました。
なんというか変なユーモアがある。
「お前ねえ。ずっと一人なわけないと思ってるんだろうけど。もう30過ぎたらクラス替えとか文化祭とかないんだよ。もっと危機感を持ちなさいよ。危機感を」とかそんな会話には身につまされてしまった。
で、この映画のロケーションは本当に安っぽいファミレスに毛が生えたようなレストラン。なんの変哲のない路上。そして、早朝のJRのどこだかわからないオブジェの前。寝床も兼ねた貧乏探偵事務所。ビルに間借りしたヤクザの事務所など。
絵にならないことおびただしい。そんな中途半端なところがまた現代の日本を象徴しているようでいいのではないでしょうか。
安っぽく絵にならないのは現代の日本の日常であってそんな日常を無意識にそのまま描いてしまったのがすごいことだと思う。
この映画はフォロワーを生み出す力のある映画だと思いますね。多分自主映画でこの映画を真似した映画が沢山出来るのではないでしょうか。