ブロークバック・マウンテン

この前観てきました。
疲れているときに見たせいもあり、とてもやるせない気持ちになって帰ってきました。
まずカット割りがあんまりないです。
カット割りというのは何台ものカメラで同時に撮って編集で繋げてワンシーンにする方法です。
ほとんど一台か二台のカメラで撮られているのではないかというくらいにカット割りせずに人物を追いつづけ、ゆるゆると時間が過ぎていきます。
カナダの雄大な自然を美しく描いています。
で、男二人のラブシーンが始まって、ドキドキしてしまいました。見てはいけないものを見てしまったような。
男二人のラブシーンだけ急にアクションが始まり、それで生々しいのだと思います。もう一度観たら分かるかもしれないのですが、カメラワークも違っているかもしれません。アップが多用されているような。
他は基本的には引きで撮っている感じで、時間がゆっくり流れていきます。
で、大事なシーンをわざと省略しています。ドラマ性を入れようとしてないところがこの映画のいいところなのかもしれません。
自然の中で愛し合った男二人ですが、互いに家庭を持ちちょくちょく会えなくなるわけです。それでもお互いのことを忘れられない二人。
これはみんなあるんじゃないですかね。この場合はたまたま肉体関係になってしまっただけです。
私も学生時代の男同士の友情が結婚によって引き離されてしまう現場に立ち会っています。
簡単に言ってしまえば、結婚するとみんな付き合い悪くなるよね、つまんねえなという感じです。でも結婚相手にかえがたい瞬間が友人と会っているにはあって、それは非常に大事ですよね。
それは男とか女とか結婚という制度とは関係ないすごく楽しいことでそれは分かりますね。
そういうところがこの映画を観ていると共感するところですね。それから、奥さんの側の心理をきちんと描いているところがすごいですね。奥さんは悪者ではない。
男二人の人生が非常にありそうでよかったです、貧しさと豊かさを車とかレストランを使って象徴的に描いています。現実世界の人間のようです。
美形の男二人が愛しあうという非現実的な話ですが、生活を丹念に描いていくことで現実的になっています。
感動的に盛り上げない上品なラストが切なくていいと思いました。