ムツゴロウVS伊集院光

伊集院光日曜日の秘密基地」を車のラジオで聞いていたらゲストにムツゴロウこと畑正憲氏登場。
異常に密度の濃い会話に焼きまんじゅう屋に行くつもりが、ラジオを聴きたいのでそこらへんをドライブする。

こんな感じです。うろ覚えですが。
録音しとけばよかったほど。

テレビとかでえんえんと話させた挙句、最後に「あなたにとって動物とは?」と聞かれるのが腹が立つ。
今までさんざん説明してきたじゃないかと思う。
僕もマスコミで食っている人間だから、適当なことをそこで話すんですけどね。(毒を吐くなあ。ちなみにあなたにとって○○とは?という言葉は寺山修司が流行らせた言葉ですね。)
たとえば、イチローのインタビューでも最後にインタビューアーが「なにかファンのみなさんにメッセージをお願いします」と言う。
今までインタビューに答えてきたことがメッセージなのに。
これまでインタビューを受けたことは何千回もあるけど、
誤解されていることはたくさんある。しかしそれもいいのではないか。奥さんと何十年間も一緒にいても分からないこともある。インタビューアーもまたしかり。だからしょうがない。

動物をかわいがるのに理屈はいらない。
伊集院は自分で何事にも理屈をこねたがると言っていた。
ムツゴロウは伊集院司会のスポーツ番組をよく観ているが
選手がいいプレーをしたときの伊集院の顔はいいのだとか。
そういう風にいいプレーに解説はいらないように動物をかわいがるのにも理屈はいらない。
学歴なんか関係ない(ムツさんは東大卒)。
大学を出てからも自分に関係する分野なら就職がいくらでもあったが、なるべく自分の研究している分野が役に立たないところにしようとしたらしい。
それで学研に入って学習映画の仕事に就く。
映画は何も知らないからいいと思ったのだとか。
助監督の下っ端の仕事だったが楽しかったという。

犬は人間に奉仕するために生まれてきた。
人間が大きく進化したのは肉食を始めてから。
ライオンが動物の内臓を食らう。
(やっぱり内臓が一番旨いのだろうな。私のホルモン好きは間違ってなかった)
その次に人間と犬がタックを組んで残った内臓以外の周りの肉を食らう。
ムツさんも実際にライオンが食べた後の動物の死体を食べたらおいしかったとのこと。
昔、犬と猫、30匹ずつ飼っていた。
北海道で大地震が起きた。
猫は森に逃げた。
犬は家にみんな入ってきた。
犬は賢い動物だからその気になれば組織化して暮らしていける。しかし、そうしない。
(確かに狼のように群れで生活している犬の話は聞いたことがないです)
それは人間と一緒に暮らすことを十数万年前に選択したから。
犬の耳を切るとかしっぽを切ったとかそれは犬は望んでいないとか言ってうるさいことをいう人たちが腹が立つ。
その犬と人間が幸せならばそれでいいじゃないか。実験動物に反対する人たちにも腹が立つ。そういう人たちは放火したり動物園を襲撃したりしているらしい。
全体から見れば実験動物の数はたかがしれている。そんなことで腹を立てるのがおかしいのだとか。
自然の中に人間があり人間の立てたコンクリートも自然に含まれる。人間と自然をそんなにわける必要はない。

クイズ。昔、ムツさんの語っていた夢は?
答え。動物に飲まれてみたい。
実際にやってみたことがあるらしい。
死んだ鯨の口の中に入った。舌は四畳半くらいある。
中に入っていくと喉のところで狭くなっていてそれ以上は入れなかった。鯨はプランクトンを食べるので他のものを濾すために喉が狭くなっているらしい。
アナコンダがどのくらいの力で巻きつくか知りたくて巻きつかれてみたらしい。
息が吸えなくなったとのこと。

というわけで、理知的かつ端正な文章を書く小説家畑正憲に近い肉声が聞けました。
いつもは奇人あるいは動物を愛する人というイメージばかり専行します。しかし伊集院光という無類に理屈っぽい人と組むことにより理論家としてのムツさんの面が出て聴いていて新鮮な気持ちになりました。
理論に行き過ぎて奇行に走るのかなとも思いました。
テレビに出るときは演技が入っているのかもしれません。
近年まれに見る濃密なラジオ番組でした。