ロフト

ロフトという映画をこの前レイトショーで見てきました。
この映画は全国公開されているみたいですけど、すごくお金が掛かっていないですね。
スランプ気味の作家の住む湖のほとりの洋館。
その隣の大学の研究所。
この二つの建物でほとんど話が展開します。
洋館に住んでいるのがスランプ気味の作家で、中谷美紀が演じてします。
大学の研究所には豊川悦司が出入りしています。
トヨエツはミイラの研究をしています。
で、この湖のほとりの建物から湖に行ったり、草原を走ったりするシーンが長い。
しかし、その長さはけして不快なものではなくて、むしろ楽しく集中して観られるものです。少し眠くなりましたが。
催眠術を掛けられて違う世界につれてこられたような気分にさせられる映画です。
この映画を観終わったあと、なんだかルールというものに従うということ自体が分からなくなってしまって、あやうく深夜の
道路を信号無視で突っ切るところでした。
終わったのが夜中で映画館がガラガラだったこともあって、
怖くて寂しくてしかたがなかったです。
今まで当たり前に生きていたことが怖い。
で、繰り返し風の吹き荒れる草原の中を歩くところや明らかに
外の景色が合成で作られている車の中のシーンを見ていると
頭がおかしくなりそうです。
で、ストーリー的にはそんなことに時間を使っているので
スカスカです。
ミイラがとにかく繰り返し生き返ってきて人間を襲う。
しかし、人間の心理が怖い。
というテーマでしょうか。
ミイラが襲ってくるときの音楽がわざと大仰に作ってあります。
これは昔の怪奇映画を意識して作られているのでしょう。
昔の怪奇映画というのは怖がらせる描写は貞子とかのモンスターに比べるとたいしたことない。
しかし、なんとなく雰囲気が怖い。で、音楽が古くて大げさである。
そんな昔の怪奇映画と同じで、雰囲気はばっちりだし、音楽もいい感じです。
で、ミイラが襲ってくるのですが、すごく安っぽいつくりだし、寝ているミイラも思いっきりゴムで出来ていて、トヨエツがナイフで刺すとスカスカなんですよね。
そんなゴム人形に代表されるスカスカぷりがこの映画のテーマです。
このスカスカを楽しまなければいけないのでしょう。

で、トヨエツと中谷美紀がことさら真面目な顔をして
バカな台詞を言ったりして、ラブシーンも非常に即物的
キレイではなくエロくもなくて、コメディのような感じなんですよね。変に風が吹き荒れているし。
でもコメディにしては本当にトヨエツと中谷が深刻な顔をしています。でも逆に可笑しいですね。
監督は確信犯ですね。
大バカなラストもすごかったです。
ある有名な映画にオマージュを捧げているようですが。
大笑いしました。
あとはほかの俳優は西島秀俊がいつものモテるけれど心の底の見えない男を演じていて怖かったです。
ミイラ役の安達祐美は本当に人形みたいで役に合ってました。

そんなコメディホラーという分野の映画ですが、観終わったあとにモヤモヤとしたものが残る。
観終わった後におかしくなる世界観が変わるという映画特有の体験をさせてもらいました。
私としては満足ですが、観て怒る人もいるだろうなと感じたそんな映画でした。