ナチョ・リブレ

映画館混んでたな。
子供が多いと思ったら、デスノート目当て。
一階の売店の前はすれ違うのもやっと。
夏休みでもこんな混まない。
デスノートは前編を観ていないので分からない。

で、ナチョ・リブレを観ました。
孤児院の子供にお金を出すために覆面レスラーとして宣教師が戦う話。
と言っても別に孤児院はそんなに生活に困っている様子もないしなんだか分からないままレスラーになる。

この主演と脚本コンビのスクール・オブ・ロックという映画が好きなので、期待しました。
これはスクール・オブ・ロックの手堅い、確実に笑えて泣ける演出と真逆の演出です。
ダダ漏れというか、なげっぱなしというか。
カットを割らないので、ダラダラした日常が続いている印象を受けます。
で、そのダラダラしたリズムでアホなことばっかりやってて
バレバレのCGを使っていたりして、笑ってたら、最後泣かされました。
あえてベタな物語を外している気がしてならない。
他のレスラーも小人の二人組みのレスラーとか老人二人組みとか椅子攻撃が得意なやつとかかなりキャラが立っているのに
そこをあまり描かない。
少年ジャンプお得意のトーナメント形式にはならない。
バイクに乗って走って転んだり、崖に卵をとりに行ったり
本筋と関係のないことばかりしている。
この監督の前作は「バス男」という映画で、アメリカの田舎を舞台にしていた。
前作は退屈な日常を描いてその退屈の中にきらりと光る感動があるという映画だった。
この映画もメキシコの田舎で娯楽もテレビでプロレスを観るくらいしかなくて周りは畑ばかりだ。
かといってエリック・ロメールの映画に出てくる豊かな南仏と違って単に退屈なだけだ。
畑などの風景や光の加減はとてもよく似ているのに。
そんな退屈な日常は笑いも少しずれたものになるし、基本的にドラマなんか起きない。
この監督はそんなドラマのない日常にたまにありうる奇跡を描いていきたいのかもしれない。

退屈でへたくそだ言い切れないし上手い演出だと絶賛するのも憚られる。なんかスルスルと観てしまってツボにはまった場面で大笑いし最後は泣いて出てきた。
あとペネロペ・クルスにそっくりな女宣教師がかわいかった。