つっこみ力

つっこみ力 (ちくま新書 645)

つっこみ力 (ちくま新書 645)

つっこみ力
という新書を読んだ。
これは「ヤバい経済学」を読んで面白かった人は
読んだ方がいいと思う。
ヤバい経済学はアメリカのマフィアのヤクの売人の時給が
マクドナルドのアルバイト並みということを検証していた。
この本はつっこみ力というだけあって愛と勇気とお笑いで
従来の統計から導き出される結論について異議を申し立てる。
ヤクザの年収や税金について書いているのも「ヤバい経済学」からインスパイアされているに違いない。
従来の統計からの結論というのは例の失業率が多いから
自殺率も高いという最近の日本経済についての考察である。
しかし、そのよく聞く言説を否定している。
海外の多くの国では失業率と自殺率は連動していないし、日本でも戦前は連動していない。
そして、自殺の原因は健康問題が一番多く、次に多いのが
経済問題であるが、経済問題の中でも失業が原因の自殺よりも負債借金などが原因の自殺が多い。
なぜ、日本では借金が原因の自殺が多いのだろうか。
それは住宅ローンをせいである。
住宅ローンを住宅金融公庫が低い金利で貸し出し
五年後から急に金利が高くなるというゆとりローンを始めた。
その金利が高くなった時期から日本の自殺率は高くなっているという。
で、日本は土地代が高いのにも関わらず住宅ローンで持ち家を買おうとすることが多い。欧米では賃貸が多い。
そして、住宅の価値は30年でゼロになる。
欧米では住宅の価値が上がったりすることもある。
日本は住宅は使い捨てである。
欧米では住宅の価値はそんな急速に下がったりしない。
住宅ローンを払っているときに家を放棄したとしても
ローンが残ることがあるというのは日本だけだそうだ。
他の国はローンを組む会社が家を精査してから金を貸す。
ローンを返せない場合は家を返せば借金はチャラになる。
日本では欠陥住宅であっても買った方が悪く、もちろん住宅ローンも払わなくてはいけない。
ということで、住宅ローンで泥沼に、はまった人が日本で自殺しているという結論だ。
恐ろしい話である。