カリ城が好きなんじゃ

矢吹春奈のパンシャーヌというドラマについて書くために
いろいろ検索していたらニコニコ動画でBSの番組において、岡田斗司夫たちが「カリオストロの城」について語っているものを見つけました。
やはりアニメーターからの視点であり、4ヶ月で作ってしまったというあの映画がストーリーに整合性がない(なぜルパンがカリオストロ公国に忍び込むかよく分からないなど)かわりにアニメとしての快楽(動く絵の面白さ)に満ちた映画だという論点で語られていました。
私も宮崎アニメの中ではルパンが一番好きなわけですが、
やはり宮崎アニメのモチーフがすべて出ている作品だと思うからです。
宮崎アニメといえばメカと美少女だと思われていたときがありました。岡田斗司夫は「封印」という対談の中でそれだけの人だと語っていたこともあります。その対談に反発したのか「千と千尋の神隠し」では主人公の女の子はかわいくないし、メカも描いていません。にも関わらず「千と千尋」はいいですな。
やっぱり私の好きな宮崎アニメのモチーフは昔出会っていた
男女というものです。
カリ城」では、ルパンが若いころに怪我して家の庭で少女のクラリスに看病をしてもらっています。
千と千尋では千尋が川の中で溺れたときに助けてもらっています。
この昔出会っているというのになんだか涙が溢れてしまいます。
少女が男の子に出会ってその男の子に助けてもらうパターンも
いいのでしょうね。まあ男のなのでよく分かりませんが。
そして、ルパンにおける不二子的なポジションを描くのが
宮崎駿は実は上手い人なのだと思います。
お姉さんのような女性です。
千と千尋で言えばリンです。
リンが最初は冷たかったくせに実はいい人だと分かった瞬間は泣けます。
耳をすませば」でいうと保健室の先生ですか。
魔女の宅急便で言えば絵描きの女の人です。
そんな女性同士の友情ともいえないようなはかない関係と
主人公の女の子を助けてくれる男の子あるいは妖精的なモノ。
この三者によって成り立っていて、これが宮崎アニメのキモ
だと思います。
だから、主人公の女の子とちょっと大人の女性、守ってくれる男の子。そして昔出会っていた。これさえ出てくれば何もいりません。
ご飯何杯でもいけます。
それを出してください。お願いします。

茂木健一郎の「脳と仮想」という本を読んでいます。
その中で「坊っちゃん」について書かれていて、それによると
作者の漱石が一番近い客観的プロフィールを持つ登場人物は赤シャツである。「漱石は、自分が赤シャツであることの痛みを自覚しつつ、それでも「坊っちゃん」の世界観に愛情に満ちた共感を寄せてあの小説を書いた」
のだという。
カリオストロの城でも「やーい、ロリコン伯爵」とカリオストロ伯爵がルパンにののしられる場面があります。
宮崎駿に近いのはどう見たってカリオストロ伯爵のほうだと
思います。
坊っちゃん」の漱石と同じく自分は一介の敵方であることの痛みを引き受けつつ作品を作っているから「カリオストロの城」はすばらしいのであるなと気がつきました。