アヒルと鴨のコインロッカー

これは傑作です。
大学に進学するために仙台に引っ越してきた濱田岳が隣の部屋の瑛太の頼みを聞き、本屋で広辞苑を盗むための強盗をする手伝いをするが…という話。
今年の日本映画のナンバーワンです。
何かの映画賞にかならず引っかかるでしょうね。
途中で『セブン』並みのビックリがありました。
ストーリーもこんがらがらない程度にひねったものになっていて、感心させられます。
暴力描写もたいした出来事は起こらないまでもどきどきするものに仕上がっていて、構成の妙とともにタランティーノの映画を思わせます。
切ない話が出てくるわけですが、それをセカチューを初めとした最近の日本映画のようにストレートに描くわけではなく、
ミステリ仕立ての物語の中に入れ込んだところが素晴らしい。
途中まで浜田岳の大学生活の日常が淡々と進み気味の悪い瑛太が出てきてわけの分からないことを言い、この映画はどういう
映画なのだろうかとジャンルが分からないな、観たことない映画だなと思う。
そして、展開が段々加速していく。
濱田岳の背の低さと朴訥さがなんだかいそうな気がする。
こういう主人公の映画をはじめて観た。こんなフェロモンの無い普通の人間を映画の主人公にしていいのだろうか。
その代わり瑛太松田龍平のフェロモンが押し寄せてきた。
とにかく脚本が完璧な映画だなと思った。
日本のミステリ映画としては5本の指に入る傑作であることは
間違いないだろう。
全くストーリーを説明できないことがもどかしい。
ネタをばらされる前に必ず観てほしい映画である。