最近読んだマンガ、本
最近読んだマンガ、本
矢沢あい『NANA』
全く共感できない人物たちであったが、この最新刊では
人間らしさを取り戻す。
ナナもくだらないことで悩むのをやめた。
それにしてもそれぞれの人物を掘り下げる短編が付いていて
毎回こんなの描いているくらいなら続きを読ませろよと
思うのだが、読んでみるとおもしろかったりする。
矢沢あいという人はあまり読んだことがないけれど、
『NANA』のような修羅場を抱えた登場人物の話を描くより
『タクミ』のような中学生高校生のたわいもないお気軽で少し笑える日常を描いたほうが面白いような気がするのだけど。
まあ、劇的な素材のほうが売れるのだろうな。
- 作者: 矢沢あい
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/09/14
- メディア: ペーパーバック
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福本和行『最強伝説黒沢』
最後驚いた。
黒沢というおっさんと中学生や高校生の不良との抗争を描く。
黒沢という名前は黒沢明の七人の侍へのオマージュだろう。
黒沢映画といったら雨だが雨が効果的に描かれている。
ホームレスとひょんなことから知り合い、暴走族に家を焼かれて
しまうかもしれない彼らを助けるというエンディングにかけての流れだ。
農民を助ける七人の侍のようである。
- 作者: 福本伸行
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/10/30
- メディア: コミック
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奥田英朗『インザプール』
神経症の患者が伊良部という医者の元を訪れる。
むちゃくちゃな治療で治ってしまうという話と思いきや、
伊良部の精神学説は新しく的を射ているものだ。
狙ってバカな振りをしているのか天然なのか分からない
伊良部のキャラクターが面白い。
精神心理学に興味がある人は読んでみるといい。
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/03/10
- メディア: 文庫
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奥田英朗『空中ブランコ』
いわずとしれた直木賞作。
変わり者の精神科医伊良部が登場。
やはり医者ものというのはブラックジャックを参考にしつつ、
それからどう外れるかというのが読む楽しみである。
全員が全員簡単に完治してしまうわけはないので、どうラストに持っていくかが作者の腕の見せ所だろう。
短編集だが、全部後味が良い。中には治っていない患者もいるのだが。
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/04/24
- メディア: 単行本
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奥田英朗『サウスバウンド』
中野に住むごく普通の小学生の僕。でも、お父さんが元過激派
だということからいろいろなトラブルに巻きこまれ、そして
家族で沖縄の離島に渡る。
少年が読めない少年小説としてもリアルで素晴らしいし、
沖縄を理想郷とした「ナヴィの恋」が好きな私としては
またもや沖縄幻想が高まってきた。
家族で都会から人のあまりいない土地へと引っ越してくるという物語の骨格は『北の国から』に似ているわけだが、
元過激派というお父さんの設定が面白い。古臭い左翼的考えを捨てられずかといってそれ自体が目的になってしまった左翼運動を批判的に見ているというスタンスが読者に共感を生む。
東京では年金を集金にくる役所の人や警官にすごむことしか
出来ないで子どもの尊敬を集められないお父さんが沖縄では
徐々に生き生きとして子どもの信頼を取り戻すという物語
もいいではないか。
いい小説であった。
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/08/31
- メディア: 文庫
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