『めがね』

『めがね』という映画を観た。
この映画は『かもめ食堂』の監督の新作である。
まあ、同じような映画ですな。
沖縄かどっかの南国の島のペンションに都会から小林聡が旅行に来て…という話。
かもめ食堂』と同じく疲れた人々が集まる一種のユートピアでの出来事。
前作のフィンランドではなく今度は沖縄かどっかの暖かい携帯も通じない島である。
かもめ食堂』は素材を生かした料理(おにぎりとか)を作り、合気道をすることで体のバランスを保つという保守的な考え方を元にした映画であった。
もっというと右翼映画であった。
この映画もまたもや素材を生かした昔ながらの料理が出てきて、特にもたいまさこの作る小豆を煮詰めて作ったかき氷などがうまそうである。
合気道の代わりにラジオ体操を変形させて作ったようなメルシー体操というのを住民は踊っている。
そんなアットホームなペンションが嫌で、主人公は島のもうひとつのホテルに移動しようとするのだが、そのホテルはみんなで一緒に畑仕事をしてその畑の恵みをみんなで受け取ろうという昔の左翼が作ったようなホテルであった。
左翼的ユートピアを逃げ出してもとの右翼的ユートピアとも
いえるペンションに戻る主人公。
監督は右翼なので左翼をもちろん全否定である。
スーツケースを引きずって戻る主人公に三輪の自転車で
もたいまさこが迎えに来る。
そして後ろのかごに小林聡美が乗りもたいまさこが自転車を
こぐというユーモラスな場面が展開される。
映画の中での自転車の二人乗りという場面は例外もなく感動的であるが、三輪の自転車、こぐのはもたいまさこというズレが
あることによってそこにおかしみが生まれる。
なぜか普通の映画であればアイドルが演じるような役柄を
もたいが演じていてそこのギャップがそこはかとなくおかしい。
そこが見所である。
他は本当に何も起こらず、ただ登場人物が海を観たりしている映画である。
これは観光映画ではなくて、リゾート映画であり、リゾート
というのはプールサイドでボーっとしているだけというのである。
日々の生活に疲れてのんびりまったりしたいという人が観る映画であり、スカッとしたいとかエキサイトしたいとかいう人が観る映画ではない。
そんなのんびりした気分を味わう覚悟で行けば映画料金でリゾート気分が味わえるコストパフォーマンスの高い映画であるだろう。