SATC

SATCを見た。
テレビシリーズを第二シーズンくらいまで見ていた私はライトなファンである。
「SATC」の演出家と脚本家が関わっているという「プラダを着た悪魔」との共通点が見つかった。
一つ目は携帯に踊らされる現代人というテーマである。
プラダ…」では着信音などで携帯という小道具を生かしていたが、「SATC」でもおしゃれなキャリーはデコっているし、出来る女のミランダは iPhoneを使いこなし、有能なアシスタントは両手で携帯メールを使っている。ミスタービッグはスーツと同じシンプルな黒の携帯でメールも使ってなさげだ。
携帯はこの映画においてキャラクターを表現するモノとなっている。
混乱を引き起こす元凶である携帯を放り投げることで過去と決別するシーンも「プラダ…」も「SATC」も同じである。
二つ目の共通点としてブランド批判が挙げられる。
ところが、「プラダ…」も「SATC」もブランドのアウラが光り輝いて見えるので困る。
散々美しく格好良くブランドを魅力的に描いておきながら、最後はブランドよりも私らしい生き方(プラダ…)やブランドよりも愛(SATC)などと言われても説得力がない。
これはブランドが嫌いな人をも取り込む作戦であろう。
この映画はいろんな視聴者を取り込む作戦を取っており、どんな立場の人が見ても楽しめるように出来ている。
商品として良くできている。SATCというブランドと言ってもいいかもしれない。
働きながら子育てをする女性代表としてミランダ、幸せな結婚生活を営むシャーロット、
セックスを楽しむサマンサというようにそれぞれを愛すべきキャラクターとして描いている。
三人の間でニュートラルにいつも揺れながら生きているのがキャリーである。
キャリーは優柔不断でいつも恋愛の喜びと不安の間で揺れまくっている。
センシティブな内面を現すかのように背が低く、華奢な体をしている。
不安定で自分がないという性格をしているから、ミスタービッグのような大柄な包容力のありそうな男に惹かれる。
だが、ミスタービッグも実は優柔不断で揺れており、実は外見は全く違えど、似たもの同士なのである。
そこがリアルだなと思う。
この映画はストーリーを引っ張っていく要素がキャリーの結婚というものしかないために映画として弱いと思う。映画にする必要があったのか、ドラマでやればよかったんじゃないということだ。
そこが残念だ。
しかし、四人の女のキャラクター描写と小道具の使い方が上手く、そして何よりも女の人が好きそうな華やかな世界を描いている。
女の人が引く寸前のエロネタも入っており、最後はロマンチックな気持ちにもさせ、デートムービーとしてオススメである。
ドラマを見たことがない人も楽しめる親切な作りでありながらも、あの4人が帰ってきたという
気にもさせられるところがいいと思う。