ハケンの品格 全話解説

第1話
これは名作の予感がする。
中園ミホという「やまとなでしこ」の脚本家と主演は
篠原涼子なので外れることはないと思う。
森美雪(加藤あい)は大学を卒業してアルバイトをしていたが、
派遣社員として大企業に勤めることになる。
しかしスキルがなく、かつドジなために重大な失敗をしてしまうが…というストーリー。
大前春子(篠原涼子)はスキルは素晴らしく時給も高い派遣社員だが、
人と打ちとけようとしない。
大前春子と森美雪という対照的な二人の派遣社員が主人公である。他は東海林主任(大泉洋)などが派遣社員を憎む正社員を演じる。
ということで、敵役が大泉洋なのだが、彼の台詞が多く、
敵役としての厚みを演じるほどの中身があるとは思えず、イライラさせられる。
キャスティングミスだったかもしれない。
しかし、森美雪のひたむきさとドジなところに感情移入させられる。
加藤あいは一番の儲け役ではないだろうか。
加藤あいへの愛情をまたかきたてられるドラマであった。
それにしてもドラマは1クール3ヶ月というお約束があるが、
大前春子の3ヶ月の派遣期間と掛けているのは素晴らしい。
よく考えたな。
それから、登場人物の名前と年収が、スカウターのように
テロップで出るという演出がクールであった。
森美雪が会社で仕事が終わらず、大切なデータを内緒で家にもって帰る。これだけで展開が読めるがその展開どおりいかず、マンガチックな解決方法になる。その展開の飛躍がバカバカしさギリギリのところで寸止めになっているところはさすがである。

第2話
スーパー派遣社員、大前春子(篠原涼子)とドジでスキルのない森美雪(加藤あい
のドラマ。
森美雪がコーヒーサーバーを壊してしまう。男性社員におつかいを頼まれ、おつかいをするのが当たり前になる。
そのことで他の派遣社員からも派遣のプライドがないと非難される。
女性正社員、黒岩からは男の気をひくためにやっていると言われる。
ここに正社員、派遣社員の他に男性、女性という属性が生まれ、話が一段とややこしくなっていく。

森美雪がおつかいを断る。
派遣を憎む東海林主任(大泉洋)と大前春子(篠原涼子)が取引先を巡って対立。
いろいろな属性を持った登場人物同士のパワーバランス、感情のぶつかりあいが一気に噴きだすフロアの場面が一番の見所であった。
たくさんの登場人物が一同に介しそれぞれの感情を台詞あるいは表情で表現している。
それが見事であった。
普通の脚本なら二人ずつの場面になりがちだが、このドラマの場合はワンシーンでいくつもの状況が展開していく。
そこが肝となって、その後は大前春子と東海林主任のホチキス打ちの速さ勝負へとなだれ込む。
そこで、複雑に絡み合っていた糸がほぐれ、
正社員VS派遣社員という一見わかりやすい図式になる。
しかし、その勝負一筋縄ではいかずにまた糸は絡み合うのであった。
それにしても次回の予告編で大泉洋篠原涼子がキスをしていたが、どういう話になるのだろう。
全く予想がつかない。
とにかくこれだけの登場人物を出してキャラクターを描きわけ、その複雑な関係性もこれだけの短い時間の中につめこんでいて観てて全く飽きないのであった。

第3話
びっくりした。
だいたい三分の二くらいでマンガチックな展開になるのですが、今回は…笑ったなあ。
の新米派遣社員とスーパー派遣社員の友情を描く。
とはいえ、大前春子(篠原涼子)は簡単に森美雪(加藤あい)を助けようとせず、
派遣社員として筋を通すためといいながら最後には動くという
毎回の展開。
この会社でマグロの解体ショーを請け負ったが、解体職人のツネさんが市場で転んで骨折してしまい。さてどうなるという話。
大前春子と森美雪の派遣社員、そして腰掛け派遣社員たちと女の正社員黒岩(板谷由夏)のそれぞれの生き方が交錯する。
とはいえ、そればかりだと生臭くなってしまうので、マンガチックな要素を導入しているのだろう。
女性陣の友情が複雑になっているのに対して、小泉孝太郎大泉洋の同僚の男同士の友情は単純である。
それは現代の男の子どもっぽさをあらわしているのかもしれない。
小泉孝太郎セルフパロディのような演技しています。
普段温厚なのに怒ってタメ口になるところはいかにも小泉らしいボウヤという感じだ。
小泉が派遣社員が多くなった理由を「アメリカの市場主義を導入して競争社会になったからですかね」みたいなことを言っていた。自分の父親がやったことを説明しているかのようです。小笠原さん(小松政夫)の嘱託社員のいつもの芸もいい。
マンガのような器の中に繊細な人間関係を盛りつけられていて参りましたというドラマ。
この脚本家は「白鳥麗子でございます」とか「やまとなでしこ」の人なのだが、やはりツンデレを書かせると当代随一である。

第4話
このドラマはどじな新米派遣社員森美雪(加藤あい)の成長物語であり、スーパー派遣社員大前春子(篠原涼子)が事件を解決するという話である。
毎回、マンガチックな展開が4分の3くらいにきて、大前春子の特技によって救われるというオチがくる。
今回は序盤から結婚式場に春子が押しかけ、書類にはんこを押してくれと頼むというありえない展開。
どうなることかと思ったら、30分くらいで、春子が特技のロシア語を話して契約を成立させる。
大前春子のロシア語だけは訳語が出てこない、 あれは東海林だけがわかっているという設定で
その優秀さにまた惚れたということなのかもしれない。

掲示板によると
字幕の出てない部分はこんな感じだそうです。

Хватит!(もうたくさん!)
Кто жадничает? Мы или вы?(どっちがケチなんだか。私たち?それともあんたたち?)
Тогда вы сами закупайте у производителя!(じゃあお前ら自分で生産者から買えよ)
Не издевайтесь над японцами!(日本人ナメンじゃねえよ)
Купите или нет?(買うの?買わないの?)
Купите,да?Согласны?Хорошо.(買いなさいよ、いいわね?よし)

いつもと展開を変えてきた
その代わり後半に正社員東海林(大泉洋)のシリアスな春子への恋情を台詞で描き、契約にもう一波乱ある。
契約書をしまったロッカーの鍵を探して大勢の社員たちが
右往左往するさまに笑った。
やはり、篠原涼子演じる大前春子のマンガチックな人物像と加藤あい演じる森美雪の派遣社員のお金のなさを嘆いたり、ふるさとの両親からの電話に励まされたり、他の派遣会社に登録しようかなと悩む姿という等身大の人物像との対比が素晴らしい。
大前春子が東海林主任からもらった携帯番号の紙を部屋で笑顔で眺めたあとにくしゃくしゃにしてゴミ箱に捨てるという場面で泣いた。
本当は携帯にかけたいのにそれを断ち切るようにゴミ箱へと。
派遣としてのポリシーがそうさせたのでしょう。
同じ脚本家の「やまとなでしこ」でも松島奈々子が堤真一にもらった花束をゴミ箱に投げ入れるシーンでヒロインのやるせない心情があらわされていた。
この二つのシーンの現すところはほぼ同じですが、そういう小道具の使い方がうまいなと思った。

第5話
スーパー派遣社員篠原涼子演じる大前春子が大活躍というドラマ。
今回は嘱託社員、小笠原(小松政夫)がクビの危機に陥る。
会社の年配の社員がパソコンを使えないという問題はどこの
会社にもある。それを取り上げたのがタイムリーだ。
大前春子は小笠原を会社にへばりつくナマコあつかいする。
正社員は小笠原を助けるために小笠原の企画を提出をするなどの策を弄するが、それくらいでは会社は契約の更新はしない。
国税が会社に査察に入り、昔の取引記録を見つけるためにまたもや右往左往する社員。
パソコン経理はわからないが伝票に強い小笠原は書類を見つけ
資料整理の指示をする。
というところでまだドラマは35分くらい。
国税に資料を渡しに行くところで、エレベーターが停まる。
小笠原が自分の花道を作るためにダンボールを受け取り、それが名札に引っかかり名札を落としてしまう。エレベーターのローラーに名札が引っかかったのだ。
そして、大前春子が資格を生かし体にロープをくくりつけて
救出に向かう。
資料と小笠原を助けた大前だが、自分がエレベーターの上に取り残されてしまう。笑った。そこに東海林(大泉洋)が助けにきて、なんとなく恋愛ドラマみたいになるが、また大前春子は
感謝をせず強がる。
小笠原はクビがつながった。
小笠原は大前春子を会社の前で待って、自分は契約を更新しないつもりだという。「老兵は去るのみ」だと。
大前は「かっこつけないでください。ナマコはナマコらしくしてください」と。
ひどい罵倒でありながら、会社にしがみついてでも残ったほうがいいと勧める相手の立場を考えた台詞に私は泣いた。
会社に残ってくださいというよりよっぽど泣ける。
ドラマというのは愛しているときは嫌いだと言うとか
台詞と内面が逆でなければいけない。
愛しているときに愛してるというのは単なる日常であって
ドラマではないのだ。
それにしてもストーリーが二転三転してもそれが不自然にならず、ストーリーの間を埋める場面も面白く見られる。
涙と笑いに満ちた1時間弱であった。

第6話
スーパー派遣社員、大前春子(篠原涼子)が大活躍という話。
今回は家内制手工業で作られているチョコレートの展示を会社
が行うことになう。たらこたらこみたいなハートの被り物でうぐいす嬢として大前春子が活躍したり、あることが原因でチョコレートの売り上げが落ち、契約の打ち切りを告げられたのを、チョコレート屋さんの娘のお産を助産師資格を利用して手伝うことで解決する。
というミラクルな展開。
そうは言っても派遣の定年といわれる35歳をすぎた派遣社員の問題や義理チョコについてどう処するべきかという問題についてもドラマは描いている。
義理チョコ問題はともかく派遣の定年問題については観ているこちらも胃が痛くなってきた。
結果的には救われるのであるが。
このドラマのすばらしいところはなんといっても大勢のキャラクターの描き分けにあるだろう。
ドラマや映画などの映像作品のキャラクターというものはある出来事があり、そこでどう行動するかによってのみ決まる。
今回は冒頭で地震が起き、地震なのにも関わらず仕事を続ける大前春子。里中主任(小泉孝太郎)は森美雪(加藤あい)を落ちてくる書類から守り、森美雪の里中主任に対するほのかな愛情と里中主任のフォローに徹する優しさと同時に好意を感じさせる罪作りなところをあらわす。森美雪が好きな浅野(勝地涼)が地震におびえ、助けられないことで、勝野のおこちゃまさが明らかになる。
同時に地震の直後に携帯電話で家族に電話する場面では
その人にとって本当に大事な人があらわになる。
パソコンスキルの高い派遣社員に家族がいることもわかる。
派遣社員といえどもかなりのスキルがあれば、子供が持てるということを示している。
そして、森美雪には群馬の母親から電話が掛かってきて、
小笠原さんには孫からの電話が掛かってくる。
東海林(大泉洋)は里中主任に同じ社内にいるのにも関わらず携帯電話を掛ける。
東海林は里中との友情でつながっているかのように見えるが、実はすぐに大前春子が地震のときにどうしていたかを聞く。
大前春子のことが真っ先に浮かんだのだ。
東海林の肩につかまっていたのに地震が終わった瞬間にその手を離した黒岩(板谷由夏)は東海林が大前の話をする顔を見ている。さびしそうに。東海林はその黒岩を気遣う様子もなく、すぐ携帯で大前のことを聞いたのだ。
そして、大前春子には携帯には着信はない。大事な人はいないから。
という大変に複雑な人間関係を地震と携帯という手段を用いて描ききった脚本家の手腕には一視聴者として脱帽せざるを得ない。
膨大な人物群がまるで生きているかのように立ち上がってくる。
派遣会社の人のハンサムだけれど、頭を下げすぎ気を使いすぎて猫背になっている感じの人(安田顕)もいそうである。
他の雑魚キャラ社員は文字通り主要人物の後をつけるだけで何もしない。
東海林と黒岩の後をつける社員の図はまるで、白い巨塔の総回診のようだ。
最後になぜ、大前春子はバスの前の停留所で待っているのか。
バスの停留所のベンチは赤い。
赤といえば「千と千尋の神隠し」の橋を思い出してもらえばわかるようにこの世とあの世をつなぐものだ。
バスの停留所でオンとオフが切りかわるのだ。
大前春子は二つの人格がある。バスの停留所はそこの二つの人格が入れかわるところだから、ドラマが生まれるのだ。
今回はスイッチの切りかえがうまくいかなくなって、こらえきれなくなって大前春子は泣いてしまった。
私の予想だと最終回はバスの停留所からどこか違う世界へ行くのではないだろうか。
ゴーストワールド」という映画ではこないはずのバスの停留所で主人公がバスに乗ってどこかへ行くという終わりであった。
この脚本家は「ゴーストワールド」を観ている。間違いない。

第7話
このドラマを観てあえて派遣として働く気になる人はいるのだろうか。
派遣会社をスポンサーにつけているのにもかかわらず派遣として働くことの厳しさをここまで描いていいのか。
今週は森美雪(加藤あい)がハケン弁当という企画を考えコンペに出す。
里中主任(小泉孝太郎)はそれを自分の名前で出さずにあえて
考案者の森美雪の名前で出すことにする。
創立80周年記念のコンペに派遣社員が出した企画が残るということで、かえって森美雪の立場が危なくなる。
社員に責められ泣いてしまう森美雪。
加藤あいを泣かせるなんて万死に値する。
責めている女子社員の黒岩(板谷由夏)も派遣社員がコンペに残ったということではなく、森美雪が里中主任のためにがんばったというのを聞いて、社内に恋愛を持ち込んだということで怒っているのだ。
このドラマは女性正社員の黒岩と篠原涼子演じるスーパー派遣社員大前春子と新米派遣社員森美雪という三人の女性をそれぞれの立場を共感できるように描いているのがいいと思う。
で、森美雪の立場が危うくなり、派遣の契約を切られそうに
なり、大前春子が活躍して救うという話。
派遣会社の社員一ツ木安田顕)の苦労をしすぎて、擦り切れてしまった古タオルのような存在感がリアルだ。
次回は今回の企画の件が波及して里中主任外しが始まるという展開になるようだ。
社長らしき大滝秀治も気になる。
次回はサラリーマン金太郎みたいな全社的なスケールの大きさとリアリティをどう両立させるのだろうか。
ちょっと苦言を呈すると今日の演出の人はあんまり脚本を分かってない気がする。
小泉孝太郎大泉洋が二人で抱き合いくるくる回る場面から
篠原涼子がくるくる回る場面につながるところ。
そのくるくる具合がつながるように演出しないと駄目だろう。
あと、剣道のシーンはもうちょっとテンポよくすべきだ。
とはいえ、今日は橋渡し的な回であるのにも関わらず
非常に熱中して観てしまった。素晴らしい。
企画書の書き方も勉強になる。

第8話
今回は里中主任(小泉孝太郎)とマーケティング課の企画、ハケン弁当を桐島部長(松方弘樹)に頼まれ東海林主任(大泉洋)が横取りしてプレゼンを任されるが…
という話。
すんなりとその話を呑み、里中主任は派遣社員にアンケートを
採り、お客様に喜ばれるものを作りたいのだと語る。
その言葉を小学生の作文ですかとバカにしながらも大前春子(篠原涼子)は結構その言葉が心に響いているのだ。
東海林主任は里中主任を左遷すると桐島部長に告げられ、
逆にいつも優しい里中主任につらく当たってしまい、喧嘩になるという展開がよかった。
人に悪いことをするとその罪悪感が攻撃に変わるものなのだ。
大前春子は今回は栄養士の免許を使い、わざわざ漁に出て魚を釣り、ハケン弁当を作る。
プレゼンで東海林主任は私の企画ではないとバラしてしまい、
桐島部長の怒りを買う。会社を出る東海林。雨が彼の心情を表す。
中島美嘉の曲が流れ、「私はいつも無力で」
という歌詞のところで、東海林の大前春子に伝わらない
無力さが出るというわかりやすい演出。
このドラマはほぼ毎回、中島美嘉の曲の「無力で」というところで、会社に対する社員の無力さを伝えている。
今回は会社に対する無力さとともに恋愛に対しても登場人物が無力であることがわかった。
裏に大前の携帯番号が書いてある紙をそのことを知らないで東海林は捨ててしまった。
大前もまた恋愛においては無力なのだろうか。
来週が気になりますな。

第9話
スーパー派遣社員、大前春子(篠原涼子)が大活躍というドラマ。
マーケティング課のハケン弁当に試食会で大前春子が拒否していたかぶりものでナレーションする姿に涙。
バカバカしいことをやればやるほど泣けるという相反性が
このドラマのよさである。
4月から入社予定の新入社員が連れてきたバカ犬を使って
逃げ出した東海林主任(大泉洋)を見つける。
犬訓練士の資格を持っているのだ。
この犬の飼い主の新入社員もバカなのだが、いくらなんでも去年の就職戦線が楽だとしてもこんなのは面接に通らないだろうと思ったら、大前はあんなのはコネ入社です。と解説。なるほど。
新入社員をうらやましがる新米派遣、森美雪(加藤あい)に大前はあなたはまだスタート地点に立ったばかりです。
との言葉を。
キッズリターンの「俺たち終わっちゃったのかな?」「まだ始まってもいねえよ」という台詞を思い出す。
最後は里中主任(小泉孝太郎)が大前春子に契約の更新が終わっても会社に残るように説得する。
小泉孝太郎が「あなたがどんなにつらい経験をしたのか僕にはわかりません」と言う。
スーパー坊ちゃんが言うだけに本当につらい経験をしたことがないのだろうなと視聴者は思う。
気が利いている。
そんなこんなで来週は最終回である。楽しみだ。

第10話
今週はハケン弁当が完成し発表会がある。
しかし、雪で弁当箱が届かない。
大前春子(篠原涼子)がスカイダイビングで小型飛行機から飛び降り弁当箱をお届け。
と、ちゃんと最終回まで特技を利用して社員を助けるという
展開を脚本が抑えている。
東海林(大泉洋)は子会社に飛ばされ、ホワイトカラーとブルーカラーの間の軋轢に悩まされる。
やきそばパンを食べる東海林。
それにしてもやきそばパンという食べ物は炭水化物の上に
炭水化物という食べ物であって、非常にがさつな食べ物である。
そのがさつな食べ物が東海林という人物を現している。
大前春子は鯖味噌が好きなのだが、鯖味噌は家庭的で繊細な
食べ物である。
これも本当の大前春子の性格を現している。
この二人の正反対の性格の人物が「仕事をするということは生きることである」というスローガンでは一致している。
ラストは大前が旅から帰ってきて東海林を助けるために彼の下で運転手兼一般事務として働くというもの。
それぞれの人物がそれぞれの行く末を送っている。
その愛情溢れリアルな描写にうなるしかない。
森美雪(加藤あい)は派遣社員をやめてアルバイトをしながら紹介予定派遣を探す。
近は同一労働同一賃金の会社に派遣として入って給料を下げられた社員の陰口を聞いてしまう。
というふうにスポンサーに派遣会社がついているのに今の世の中の派遣の抱えている厳しい現実を描いている。そして、どう働くべきか、ある程度の答えを出しているのが、誠実である。
里中は社長賞をもらい、派遣社員のおかげでこの賞を貰えたとスピーチで言う。スピーチを会長に褒められるが会長に「我が社は派遣社員を増やすべきかな?」と聞かれる。
「私には、わかりません」と答える小泉。
日本社会にとっても派遣社員が増えるほうがいいのか本当にわからないとしか言えないだろう。そのわからなさを登場人物にわからないと言わせてしまうのがこのドラマのすごみだろう。このドラマはフェアなドラマであるなと思った。