結婚できない男 最終回

結婚できない男 DVD-BOX

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で、忘れないうちに結婚できない男の最終回を検証してみようと思います。
このドラマはコメディなわけで、最後に真面目に告白して
シリアスな終わり方になるくらいなら、ずっと阿部ちゃんと
夏川結衣さんの言い合いが続くほうがいいなと思っていました。
そうは思いながらも、阿部ちゃんの告白で感動して泣く私。
阿部ちゃん変わったなあと思ったら、ありゃ、爆笑。
全然変わってない。

最後少しは丸くなって、結局なんだかんだ言い合いながらも、阿部ちゃんの家に遊びに行くというラスト。
コメディを貫いた立派です。
家に人を呼びたくなかった阿部ちゃんですが、最後は夏川さんを誘います。ちょっと下手に出ます。
やっぱり最後は結婚式とかキスシーンとかで終わるドラマが
一般的だと思うのですよ。
でも橋を二人で歩いて終わり。
阿部ちゃんと夏川さんで住む予定の家の模型が写ります。
一匹で寂しそうだった金魚も二匹になっています。
それで二人の行く末を暗示してエンド。
粋ですな。
考えてみれば、阿部ちゃんがほかの人を好きだという気持ちの
揺れみたいなものはこのドラマに一切なかったですね。
最初から最後まで犬以外は夏川さんにしか好意を抱いて
いないし、ほかの人のことを好きというそぶりはなかったですね。恋愛でのほかの人への気持ちの変化という意味でのドラマ
はなかったです。それでも12話持ちました。

このドラマは結婚式のシーンもなく、キスシーンはおろか手をつなぐシーンすらない。
悪人は一人も出てこないし、しいていえば、一番悪い人は
主人公の阿部ちゃんです。
人も一人も死なないし、そんなどこにでもいるような人たちシチュエーションの中でドラマを成立させたのがすごいなあと思います。

阿部ちゃんのお母さんも死にそうになるのかと思いきや
そんなこともなくぴんぴんしているし。
でもお母さんが心配しているのは分かっていて、決してマザコンではないけれど、ちょっとずつお母さんの結婚しろの勧めが
主人公の心に響いてきて。
かといって疎ましく思っているわけでもなくこういう親子関係はさっぱりしていていいですね。

おかあさんが救急車で運ばれるわけです。そのときに、義理の息子は医者なんですが、その医者であることの日常と義理の母親が倒れてしまってどうしようの狭間の「救急車呼んで」がリアルでよかったと思います。

あとはテレビに建築家としての意見をいうために出演することになるのですが、テレビを普段観ないためにそれほど大変なことだとおもわないけれど、念のためその番組の視聴率を確認して、全国でどのくらいの人が観ているか概算してみて、その数字を見て改めて胃が痛くなるという描写に笑った。

国仲涼子と二人きりになって、会話が途切れてしまって、こういう静かなところだと般若心経が聞こえない?とおかしなことをいう阿部ちゃん。
確かに静かなときにお経が頭の中で鳴り出すことはありますね。ってそんな人あんまりいないよ。私とこのドラマの脚本家だけ?
国仲涼子が引っ越すときに、模型を作る板で犬の模型と犬の
餌の皿を作って渡すあたたかみもいいなあ。
こういうあたたかみのあるプレゼントというのは嬉しいですよね。犬が好きなだけじゃないかとちょっと思いますが。
国仲涼子の身の引き方もいいですね。
最近のドラマはライバルもいい人が多くて身の引き方が潔いですね。

プレイボーイでいい車に乗っていていつも違う女を連れている
金田という建築家を主人公はやっかみ半分、軽蔑半分で観察していて、どちらかというと嫌いだと思いますがそれでいて金田のホームページの更新を楽しみにしていたりして。

テレビに出た阿部ちゃんを目ざとくバーで見つけ、ああいう家を作れたらいいなあと建築家として下手に出る金田。
金田が向こうに行った後、「なんだいいやつじゃないか」とつぶやく阿部ちゃん。

金田が一人焼肉をしているところを見つけます。
プレイボーイで女といつも一緒だけど、そんな一人焼肉をしなくてはならないこともそりゃありますわ。
笑いました。ちょっとしんみりもしましたが。
金田のホームページにはちょっとなんとかしました。
とかちょっといい友達ができましたと阿部ちゃんのことをせつめいしてあります。
すべての事柄にちょっとと付けるのは女の人や仕事についても
そうで、一人の人に絞れない、仕事にもやりがいを感じられない。そんな男が本当に結婚できない男なのかもしれません。

という感じで、大いに笑いました。
このドラマは映画の「恋愛小説家」にヒントを得ていると思いますけど、はるかに脚本的に素晴らしいですね。
今という時代をとらえているし、主人公の嫌なやつだけど共感できる感じも魅力的ですね。
そんなところでしょうか。
では。